岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

映画館はみんなが笑顔を取り戻せる場所なのだ

2018年07月25日

フォーラム仙台(宮城県)

【住所】宮城県仙台市青葉区木町通2-1-33
【電話】022-728-7866
【座席】スクリーン1:40席 スクリーン2:54席 スクリーン3:96席

 仙台を南北に走る地下鉄の北四番丁駅。朝から降り続いていた雨も上がり、雲の隙間から太陽が顔を覗かせる。夏も終わりに近い勾当台公園の緑が、涼しい風に揺られてキラキラ光る。この界隈は青葉区役所や市役所が建ち並ぶ官庁街で、もう少し行くと東北大学などの学校が集まる学生街になる。メイン通りから少し横道に逸れると、緑色の看板が遠くからも目立つ、20年目を迎えたばかりのミニシアター「フォーラム仙台」がある。

 オープニング作品の『バッファロー’66』がいきなりの大ヒットを記録。続く、第二弾として公開した『シュリ』は連日満員となる韓流ブームの先駆けとなった。上映作品もメジャー系からアートまで幅広く、ミニシアターの枠にとらわれない懐の深さを感じるラインナップを組まれている。これは「作品には大きいも小さいもない…だから、子供向けのアニメもインディペンデント系も上映する映画館を作る」という、母体であるフォーラムシネマネットワークの経営理念から来ている。

 オープンから11年…東北地方を襲った東日本大震災は、春休み直前の市内にある映画館の機能を奪った。しかし、地盤が強い地域にあった「フォーラム仙台」は被害も少なく、スタッフは自宅の片付けを後回し(中には家が流されて劇場に寝泊まりするスタッフもいた)にして、市内でいち早く映画館を再開した。

 また、一人で家にいると余震が怖いというお客様のために、常にロビーを開放したという。テレビを付けても震災のことばかりで、誰もが気が滅入り始めた頃…東宝から前売券を持っている人たちや子供たちのために、ドラえもんや新作を上映してもらえないか?という相談を受けた。急遽スケジュールを組み直して上映したところ、大勢の人たちが押し寄せて、ギュウギュウ詰めとなりながらもお客様は久しぶりの映画を楽しんでいた。

 仙台を舞台にした映画で印象深いのは、伊坂幸太郎の短編を中村義洋監督が映画化した68分の中編『ポテチ』。伊坂映画常連の濱田岳演じる空き巣を生業とする冴えない主人公は、落ち目のプロ野球選手と、生まれた時に病院で取り違えられた事を偶然知ってしまう。勿論、主人公の母親は知らない。主人公は母親に実の息子が活躍する姿を見せたいと陰ながら応援している。空き巣の仲間となったヒロインの木村文乃が、ここで素晴らしいコメディエンヌぶりを披露する。本作は、東日本大震災後の仙台市内で撮影して翌年に公開した。クライマックスの試合シーンでは多くのエキストラが集まってくれて、サポーターは、前と同じように映画を作っているのが嬉しい…と語っていたという。そう、普段通りに戻る…それが本当の復興なのだ。


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2017年9月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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