岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

戦後、ありったけの資材を集めて設立したシンボル

2018年02月15日

高松ホールソレイユ(香川県)

【住所】香川県高松市亀井町10-10 ソレイユ第1ビル
【TEL】087-861-3302
【座席】ホールソレイユ:140席 ソレイユ2:90席

 瀬戸大橋を渡り、岡山から快速マリンライナーに乗って1時間…香川県高松駅を降りる。ホームが頭端式となっている終着駅の高松は、港に隣接しているからか、ほのかに香る潮風が心地良い(すぐ裏手は海だ)。

やはり、うどん県だけあって、駅の中にも外にもうどん屋さんが多い。仙台駅に牛タン屋さんが多いのと同じだ。そこから琴平電鉄(通称ことでん)の高松築港駅から二つ目の瓦町駅まで行く。県庁からここまで、高松市出身の作家・菊池寛の名前が付いている通りがある。
 駅から真っ直ぐ伸びるトキワ街という活気溢れるアーケード商店街を歩く。ここは昔から市民の生活拠点で、通りのあちこちで手作り雑貨やスイーツなどを広げているマルシェが実に楽しい。そんな商店街を抜けたところにミニシアター「ホールソレイユ」と「ソレイユ2」がある。

 前身は、終戦直後の昭和20年…空襲で焼け野原となったこの場所に、物資が欠乏していた中、ありったけの資材を集めて設立された「高松大映劇場」という大映の封切館だ(ちなみに菊池寛は大映の初代社長を務めている)。突貫で完成した掘建て小屋の劇場は、雨が降ると雨漏りがひどく、傘をさして映画を観るような有様だった。それでも娯楽に飢えていた人たちで、連日大入り満員だったという。
 映画最盛期の高松市は、街の南側が邦画の封切館、北側に洋画の封切館が建ち並び、興行の構図はハッキリと分かれていたそうだ。東京オリンピック以降は大劇場の時代から小劇場へと移り変わり、昭和58年に「高松大映劇場」も現在の複合ビルに建て替えられた。4階の「ホールソレイユ」では洋画メジャー系を中心とした一般映画、入口がビルの裏手にある地下の「ソレイユ2」は成人映画を上映。平成2年からは両館ともに、単館系を中心としたプログラムを組むようになった。アカデミー賞にノミネートされた作品は、受賞の有無に関係なく必ず上映しており、その理由は、県庁所在地の映画館で優れた映画を上映しないのはプライドが許さない…という館主さんのこだわりから。おかげで、良質な映画を求めるお客様から多くの支持を得ている。
 香川県といえば思い出すのが、平成の恋愛映画のエポックメイキングとなった『世界の中心で、愛をさけぶ』だ。長澤まさみと森山未來演じる主人公の高校時代は全て高松市内でロケされており、まだ聖地巡礼という言葉が無かった時代に、多くのファンが訪れていた。山﨑努が店主に扮した写真館があったのは、高徳線で徳島方面に30分ほどのところにある古高松南駅。駅前に大きな池があるのが印象的で、映画の公開までは、これといって人が訪れるような観光地ではなかったそうだ。現在、建物は町の観光交流館として撮影当時の姿で保存されており、映画のロケ地を町の財産とする取り組みは、他所でもどんどん真似すれば良いと思う。

出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2014年8月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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