岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

宮崎と鹿児島の県境にある街にひとつの映画館

2020年04月01日

シネポート CINEPORT(宮崎県)

【住所】宮崎県都城市中町17-9 シネポートビル
【電話】0986-24-2571
【座席】スクリーン1:80席 スクリーン2:80席 スクリーン3:53席

 宮崎駅からJR日豊本線で1時間ほど。鹿児島県との県境にある都城市は、南北に大淀川が流れ霧島連山の麓にある豊かな自然に囲まれた風光明美な街である。ここは幕末まで島津藩だったことから、この地に住んでいる人たちは、鹿児島気質の人が多いという。戦時中は陸軍の飛行場があり、そこから特攻機が飛び立っていたという歴史がある。

 都城駅の隣にある西都城駅を降りて駅前通りを歩くと、程なく地元に根付いた商店街にぶつかる。そこから更に5分ほどの場所にプロヴァンス風のオシャレな外観の商業施設C-PLAZAが見えてくる。この大通りには市の合同庁舎や文化施設が立ち並んでおり、街の中心部が駅から離れた場所にあるのは、昔ここが唐人町であった事に起因している。

 そのC-PLAZAには街にひとつの映画館「シネポート CINEPORT」がある。霧島の山々を臨み、天気の良い日は桜島も見えるという2階テラスのベンチに腰掛けると晩夏の風が実に心地よい。ロビーよりもテラスで待ち時間を過ごされる方が多いというのもよく分かる。そんな「CINEPORT」のネオン管にあかりが灯る夕暮れ時のテラスで、二代目館主の河村敏行さんに話を伺った。

 前身は先代であるお父様が昭和30年に創業した東映の封切館「都城東映劇場」だ。この界隈は戦前から大きなデパートや10館ほどの映画館が軒を連ねた繁華街で、休日ともなると大変賑わっていたという。日本映画が斜陽期を迎えていた昭和53年に洋画専門館に路線を変更すると間もなく公開した『E.T.』が爆発的ヒットを記録。昭和62年に老朽化した「都城東映劇場」を取り壊してミニシアター「CINEPORT」を立ち上げた後、平成13年の道路拡張に伴って現在の場所に映画館を移転して3館体制の新生「シネポートCINEPORT」を設立した。

 現在の客層は地元の年配層とファミリー層がメインとなっており、平日の夕方は、仕事帰りのカップルや年配の夫婦、家族連れでロビーは賑わっている。都城に住む若者は、高校を卒業したら宮崎とか福岡といった大きな街に出て行ってしまうので、これからの映画を支えてくれる若者層が街から離れてしまうのが大きな課題と河村さんはいう。そのためヒット作も二極化されており、中高生向けの青春映画よりも『ミニオンズ』などの子供向けのアニメか、『おくりびと』や『そして父になる』のような人間ドラマに人気が集中するそうだ。

 普段は1日4作品の上映を行っているが、ハイシーズンには6作品上映することもあるという。夏休みや冬休みシーズンになるとどうしても、ひとつの作品で字幕・吹き替え・2D・3Dとバージョンが多岐にわたるため、毎回どれを選ぶか頭を悩ませているそうだ。「昔は二本立て興行の組み合わせを考えるのが、興行に携わった人間にとっての醍醐味でした。そこを見極めるところが勝負で、自分の読みが当たるのか、配給会社の予測が当たるのか…そこですよね。だから、今でもコチラの読みが当たった時はそりゃ嬉しいですよ。」ここ数年は、映画館への問い合わせにも変化が見られ、吹き替えをやっているか…という質問が多く寄せられるようになり、近年は吹き替え版での上映が主流になっている。この状況に河村さんは「昔の映画ファンは、洋画は字幕じゃなきゃ…という方が殆どでしたが、今の若い方は吹き替えの方が良いらしく時代は変わりましたよね。」と笑う。


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2015年8月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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