岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

戦前・戦後と造船の街として栄えた繁華街にともる映画の灯

2019年12月25日

佐世保シネマボックス太陽(長崎県)

【住所】長崎県佐世保市島地町1-17
【電話】0956-22-2012
【座席】スクリーン1:129席 スクリーン2:85席 スクリーン3:260席 スクリーン4:254席 スクリーン5:60席 スクリーン7:51席

 長崎県諫早からJR線を乗り継いで、造船の街として知られる佐世保へ向かう。平日の夕方は駅前もひっそりとしていた。佐世保駅にある人気のバーガーショップ「LOG KIT」でレギュラーサイズの佐世保バーガーを注文したのだが、あまりの大きさに驚いてしまった。甘い卵とケチャップと薄生地のハンバーガーをケチャップで口を真っ赤にしてほおばる。美味かった。

 ここは、戦前から軍港として栄え、戦後はアメリカ海軍基地ができた街だけに、何となく横須賀の雰囲気に似ている。かつては、進駐軍相手のキャバレーやダンスホールが建ち並ぶ国際色豊かな活気を見せていた繁華街だったが、朝鮮戦争が終わり進駐軍が引き揚げると、今度は天井の高いフロアが映画館に向いている…と、次々と映画館に転身。いつの間にか京町界隈は映画街になっていた。そんな街の中心に位置する島地町に市内唯一の映画館「佐世保シネマボックス太陽」がある。

 昭和30年に創業した客席数300席を有する洋画の再映館「スバル座」が前身で、55円という安い料金で二本立てが観られたことから、別名「55円劇場」という愛称で親しまれていた。その後、現在の場所に移転すると、洋画ロードショウ館「太陽」という館名で、客席数400席の2館体制で新旧洋画の名作を送り続けた。

 現在のビルとなったのは昭和61年。細長い8階建てのビルの中には大小7スクリーンの劇場が入っている。ユニークなのはフロアごとに異なるイメージのロビーと場内だ。シネコンのように統一されたデザインでないのは、本来は独立した映画館だったから。今でも1スクリーンだけ「太陽松竹」という看板のままになっているのは、松竹の契約館だった時代の名残だ。

 24歳から映画の買い付けと営業を行なってきた代表の牛島義亮さんは「映画が当たるか当たらないかなんて、博打のようなもの」と語る。試写会で、これはイケる!と思った作品に朝から長蛇の列を作っている光景を見た時の喜びは何ものにも変え難いという。

 今でも記憶に残るのは、連日長蛇の列ができていた『エクソシスト』の大ヒットと、その後に続く『燃えよドラゴン』や『マッドマックス』などワーナー・ブラザース作品の快進撃という。その時代から訪れている常連さんと映画について語り合うのが楽しみ…と牛島社長は語る。期待していないところで、思いがけない作品がヒットをするのも(併映作品だった『マッドマックス』は、それほど期待されていなかった)面白いのだ。

 だからこそ、映画館の個性が現れる作品選びには、劇場スタッフ全員で意見を持ち寄って決めている。時には常連さんからも他所でやっている映画の情報を聞きつけると直接リクエストされる方もおられるとか。そんな時は、儲けは二の次でもファンが望んでいる作品を検討してくれるのも地元密着型のシネコンならでは。長崎までなかなか行けないお年寄りにとって、頼り甲斐のある「まちの映画館」なのだ。


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2011年9月

佐世保シネマボックス太陽のホームページはこちら
http://www.cinema-taiyo.co.jp/guide/index.php

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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