岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

日本映画を支える「映画俳優」木竜麻生さんから目が離せない

2022年06月23日

「映画俳優」木竜麻生さん

©2022「わたし達はおとな」製作委員会

蒲郡名物めひかりの唐揚げを食べてくれたかな?

日本映画全盛時代には「映画俳優」はステータスであったが、今は映画を中心に活躍している俳優は一部のビッグスターを除けばそう多くはない。それでも多くの俳優は映画を「本編」と呼び、低予算映画や新人監督作品でも気に入った作品ならば採算度外視で出演する。

『わたし達はおとな』で主演する木竜麻生さんも、そんな日本映画を支える「映画俳優」の一人である。

木竜さんが私たちの前に彗星の如く現れたのは、2018年に公開された鬼才・瀬々敬久監督の『菊とギロチン』( キネ旬2位)だ。女相撲一座の力士・花菊を演じ、「おら強くなりてえ」と逆境に立ち向かっていく。立ち合いの際の眼光の鋭さ、理不尽な暴力に対する怒り、恋仲のアナーキスト古田(寛一郎)との同志的空気感。新人ながら抜群の存在感であった。

続いて野尻克己監督デビュー作の『鈴木家の嘘』(キネ旬6位)。兄の自死を、「引きこもりをやめてアルゼンチンに行った」ととっさに母に嘘をつく妹の役。兄に対する愛情や憎しみという複雑な感情を、真剣味と滑稽さでごく自然に演じている。死を扱っているのに不謹慎さを感じさせないのは彼女のアッケラカンとした雰囲気があるからだ。中でも遺族ケアの会で、はじめて兄への思いを吐露する約5分間のワンカット長回しのシーンは圧巻である。

この両作品で、2018年東京国際映画祭東京ジェムストーン賞を受賞、キネマ旬報新人女優賞では選考委員59名中28名という圧倒的支持で選出された。

『東京喰種トーキョーグール【S】』(2019)で西野貴未役を演じたあとはコロナ禍突入。

そして私の地元蒲郡全面支援・オールロケの『ゾッキ』(2021)。親友の牧田くん(森優作)に騙されて、偽の下着を5万円で買ったことのある伴くん(九条ジョー)の結婚相手・本田さんの役だ。蒲郡クラシックホテルでのデートシーンとか、花嫁姿とかとっても素敵だった。蒲郡名物めひかりの唐揚げを食べてくれたかな?

2022年は瀬々監督の『とんび』。小料理屋の女将・たえ子(薬師丸ひろ子)の生き別れた娘・泰子の役。出番は少ないが、どう振る舞ったらいいのかわからず戸惑う姿と、気持ちがあふれ出し涙がこぼれる様子は、薬師丸さんと相対しても遜色ない貫禄だ。

今後も『わたし達はおとな』の他、8月には『ぜんぶ、ボクのせい』の公開が控えている。

目が離せない注目の「映画俳優」である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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