岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品青春18×2 君へと続く道 B! ピュアな恋を描いた大人のラブストーリー 2024年07月22日 青春18×2 君へと続く道 ©2024「青春 18×2」Film Partners 【出演】シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳 【監督】藤井道人 藤井監督の思いがいっぱい詰まっている 本作は、狂おしいほどのヘビーな恋ではなく、ピュアな恋を描いた大人のラブストーリーである。 物語の始まりは、「台湾の京都」とも称される台南だ。レトロな街並みとノスタルジックな名所が集う観光都市である。その地のカラオケ店でバイトをしているのが高校生のジミー(シュー・グァンハン)で、映画はジミーの視点で語られていく。そこでジミーが出会ったのが、日本からやってきた4つ年上のバックパッカー、アミ(清原果耶)である。 アミは天真爛漫だがどこかミステリアスで、年上の外人のお姉さんに恋心を抱くジミーの気持ちはよくわかる。そしてアミもまたジミーに想いを寄せていくのだが、突然の別れがやってくる。映画の後半でその理由がわかってくるのだが切なすぎるのだ。 あれから18年、色々あって人生の分岐点に立つジミーが、あの時の約束を果たしにアミの故郷へ行ってみようと思い立つ。日本でのジミーの旅のルートは、東京⇒鎌倉⇒長野⇒新潟⇒福島・只見町だ。ここからは旅映画の様相が出てくるが、観光映画になっていないのはさすが藤井監督だ。 夏の台湾と雪景色の日本とのコントラストやランタンを飛ばすシーンの何と美しい事か。 本作の中で、岩井俊二監督の『Love Letter』(1995)を観に行くシーンがある。これは映画マニアにはネタバレしているようなものだが、両作の共通点は「大切な人の死を受け入れること」だ。 ジミーはアミの実家で、知らなかった一面を知ることとなる。アミがジミーのことをどれだけ思っていたことか、そして叶わぬことと自分をいかに納得させていたのか。泣ける映画としてのクライマックスである。 ちなみに本作の藤井道人監督の祖父は台南出身で、監督自身台湾に留学していたこともあり、日台合作映画を作れたことで「夢が一つかなった」とインタビュー等で語っている。 藤井監督の思いがいっぱい詰まった青春映画である。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (10)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2020年05月27日 / 舞鶴八千代館(京都府) 日本海の港町で映画の灯を守り続ける映画館 2020年04月01日 / シネポート CINEPORT(宮崎県) 宮崎と鹿児島の県境にある街にひとつの映画館 2020年06月10日 / ジストシネマ田辺(和歌山県) 紀伊半島の港町にある地元密着型の映画館 more
藤井監督の思いがいっぱい詰まっている
本作は、狂おしいほどのヘビーな恋ではなく、ピュアな恋を描いた大人のラブストーリーである。
物語の始まりは、「台湾の京都」とも称される台南だ。レトロな街並みとノスタルジックな名所が集う観光都市である。その地のカラオケ店でバイトをしているのが高校生のジミー(シュー・グァンハン)で、映画はジミーの視点で語られていく。そこでジミーが出会ったのが、日本からやってきた4つ年上のバックパッカー、アミ(清原果耶)である。
アミは天真爛漫だがどこかミステリアスで、年上の外人のお姉さんに恋心を抱くジミーの気持ちはよくわかる。そしてアミもまたジミーに想いを寄せていくのだが、突然の別れがやってくる。映画の後半でその理由がわかってくるのだが切なすぎるのだ。
あれから18年、色々あって人生の分岐点に立つジミーが、あの時の約束を果たしにアミの故郷へ行ってみようと思い立つ。日本でのジミーの旅のルートは、東京⇒鎌倉⇒長野⇒新潟⇒福島・只見町だ。ここからは旅映画の様相が出てくるが、観光映画になっていないのはさすが藤井監督だ。
夏の台湾と雪景色の日本とのコントラストやランタンを飛ばすシーンの何と美しい事か。
本作の中で、岩井俊二監督の『Love Letter』(1995)を観に行くシーンがある。これは映画マニアにはネタバレしているようなものだが、両作の共通点は「大切な人の死を受け入れること」だ。
ジミーはアミの実家で、知らなかった一面を知ることとなる。アミがジミーのことをどれだけ思っていたことか、そして叶わぬことと自分をいかに納得させていたのか。泣ける映画としてのクライマックスである。
ちなみに本作の藤井道人監督の祖父は台南出身で、監督自身台湾に留学していたこともあり、日台合作映画を作れたことで「夢が一つかなった」とインタビュー等で語っている。
藤井監督の思いがいっぱい詰まった青春映画である。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。