岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇

2024年09月26日

どら平太

© 2000「どら平太」製作委員会

【出演】役所広司、浅野ゆう子、片岡鶴太郎、宇崎竜童、大滝秀治、菅原文太、石倉三郎、石橋蓮司、神山繁、加藤武、うじきつよし、尾藤イサオ、岸田今日子、江戸家猫八、永妻晃、赤塚真人、本田博太郎、三谷昇、津嘉山正種、渡辺梓、鈴木弥生、伊佐山ひろ子、菅原加織、松重豊、黒田隆
【監督】市川崑

完全に市川崑監督タッチの映画だ

本作の原作は、山本周五郎の「町奉行日記」(1959/小説新潮)である。着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇想天外な方法で藩の汚職を摘発していく町奉行の活躍を描いた短編で、映画化に際しての題名『どら平太』は、主役の望月小平太(役所広司)の蔑称から、黒澤明が命名した。

1969年7月に、黒澤明・木下惠介・市川崑・小林正樹で結成された「四騎の会」の第1回作品として共同で脚色・監督が予定されていたが、一旦は頓挫。1999年になって日活製作・映像京都製作協力・市川崑監督で撮影が始まり、2000年5月に東宝配給で公開された。興行収入14億円、キネマ旬報ベストテン11位と成功を収めた。

私も名古屋の名宝劇場で満を持して観て大満足、2000年のマイベストテン6位に選出している。それから24年ぶりにロイヤル劇場で観たが、いささかも古びることなく、痛快娯楽時代劇として堂々たる風格をもっている。

4人の巨匠の共同脚本であるが、完全に市川崑監督タッチの映画となっている。市川映画独特の明朝体による画面いっぱいのクレジットに始まり、早いカット割りや調和のとれた画面構成、奥行きのある画面、スタイリッシュな演出スタイルなど、市川映画そのものだ。

主人公の小平太(どら平太)は、頭がよくて剣の腕もたつが決して偉ぶらない人物で、役所広司さんが人間味たっぷりにひょうひょうと演じている。

男ばかりの物語の中に、一人分け入る紅一点、江戸芸者のこせい(浅野ゆう子)のチャキチャキっぷりがたまらなく良く、「剣は強いが女にゃ弱い」という小平太のカッコよさを引き立てている。

「壕外」と呼ばれる無法者がたむろする一帯に、身分を隠して潜入する町奉行の小平太はまるで遠山の金さんで、放蕩ぶりが堂に入って面白い。

小平太が何十人も相手にする殺陣の場面も秀逸で、日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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