岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ

2024年09月26日

潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断

©2023 INDIGO FILM-O’GROOVE-TRAMP LTD-VGROOVE-WISE PICTURES

【出演】ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、マッシミリアーノ・ロッシ、ヨハン・ヘルデンベルグ、パオロ・ボナチェリ、シルヴィア・ダミーコ
【監督】エドアルド・デ・アンジェリス

手汗はかきませんが閉所はやっぱり息苦しい

閉所恐怖症はつらいよ

押入れに閉じ込められた、というようなエピソードはないのだけれど、狭い場所というのは不安をあおる。

映画体験では、『大脱走』(ジョン・スタージェス監督/1963年)の脱出穴=トンネルを掘るシーンで、変な汗かいた記憶がある。

もう少し後の体験では、『地下水道』(アンジェイ・ワイダ監督/1957年/日本公開1958年)。第二次大戦末期、ナチス・ドイツ軍に抵抗するポーランドの国内軍は、決死の作戦としてワルシャワ市内に張り巡らされている地下水道を利用したゲリラ戦を敢行する。暗闇と悪臭を感じる下水道の構内は息が詰まる緊張感に包まれる。挙句、やっとの思いで地上に辿り着けば、待ち構えたドイツ軍に射殺されていく。この時も尋常でない手汗をかいた。

潜水艦…狭い船内。鉄板1枚隔てた向こう側には、暗い海が待ち構えている。言わば、究極的な閉塞空間。

世代的には1982年に公開された西ドイツ映画『Uボート』(ヴォルフガング・ペーターゼン/1981年)が、潜水艦を舞台にした映画として強く印象に残っている。

1940年10月、第二次世界大戦開戦から1年。イタリア海軍潜水艦コマンダンテ・カッペリーニは、イギリス軍への物資供給を断つという指令を受け、地中海からジブラルタル海峡を抜け、大西洋へ向かおうとしていた。その作戦行動中、船籍不明の貨物船と遭遇し交戦状態になり、貨物船を撃沈する。

中立国のベルギー船籍だった貨物船は、あきらかに連合国側に物資を運ぶ目的があったとわかるのだが、沈没船から逃げ出した船員たちをそのまま放置すれば命はない。救助して港へ運ぶことには、潜水艦の生命線でもある潜行を断念しなければならないリスクが重なる…艦長のトーダロは決断を迫られる。

戦争という状況下、非道に感傷を交えるのは危険だが、海の男=船乗りの生き方は感動的ではある。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (6)
  • 検討する (0)

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

ページトップへ戻る