岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

切なさ溢れる抒情的恋愛映画の秀作

2024年07月23日

青春18×2 君へと続く道

©2024「青春 18×2」Film Partners

【出演】シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳
【監督】藤井道人

抑制のきいたセンチメンタリズムとユーモア

藤井道人監督・脚本の日本・台湾合作映画「青春18×2 君へと続く道」は、良質のセンチメンタリズムという表現が相応しい恋愛映画の秀作。

藤井道人監督は、「光と血」、「デイアンドナイト」、「新聞記者」、「ヤクザと家族 The Family」等の優れた社会派エンタテインメントを連打する一方で、瑞々しい青春映画「青の帰り道」や抒情豊かな恋愛映画「余命10年」も撮れる日本映画期待の俊英。「青春18×2 君へと続く道」は、多才な映画作家・藤井道人の後者の代表作となるであろう。

台湾人作家の紀行エッセイの映画化で、仕事で挫折した36歳の台湾人ジミー(シュー・グァンハン)が、18歳の時に出会った初恋の日本人女性アミ(清原果耶)の思い出を胸に日本を旅する話で、現在と18年前の思い出が並行して描かれる。

高校生のジミーはアルバイト先のカラオケ店で4歳年長の日本人バックパッカー・アミと出会い恋をするが、何か秘密を抱えているようなアミは突然帰国してしまう。18年後日本を旅するジミーが回想するアミとの思い出を描いたエピソードの数々が微笑ましく、旅先でのエピソードも味わい深い。抑制のきいたセンチメンタリズムとユーモアの匙加減も絶妙。

台湾の人気俳優シュー・グァンハンは18歳と36歳のジミーを違和感なく演じ分ける好演。「デイアンドナイト」、「宇宙でいちばんあかるい屋根」に続き3回目の藤井道人作品となる清原果耶もアミを魅力的に演じている。

劇中でジミーとアミが映画館で観る岩井俊二監督の恋愛映画の名作「Love Letter」に迫る、切なさ溢れる抒情的な恋愛映画に仕上げた藤井道人監督の今後の活躍から目が離せない。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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