岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

《講座レポート 後編》

2022年11月17日

『エンジン01 in 岐阜 まちなか講座』”ナンカヤローネ!守ろう!地元の映画館” 後編

話題がデジタル化、フィルムのサイズといった専門分野に及んだところで、8ミリフィルムつながりで、手塚眞監督に映画製作に話が振られる。

ベータやVHSのビデオテープが普及する以前の話ー

手塚監督は8ミリで映画づくりを始められた。現在ではスマホでも映画撮影が可能になっているが、当時のフィルム撮影には、フィルムそのものと現像にかかる経費がかかった。加えて、上書きができないから、そこにはロスも生まれる。

当時の手塚家は、8ミリの撮影用カメラと映写機を所有されていた。機材に慣れ親しんだでいたうえに、幼い頃からファミリー上映会で、ディズニー作品を観ていたという。

この話に反応した林真理子氏は、「8ミリの機材なんて見たこともない!手塚家は凄く特別な家なんじゃないですか!」とツッコミを入れる。

これには一同同調納得の合いの手。

手塚氏はお祖父様の代から8ミリユーザーであったことを付け加えられる。これは納得のお話。

続いて、子どもの頃からの話つながりで、映画初体験の想い出にー

山梨県出身の林真理子氏は、幼い頃、祖母や母に連れて行ってもらった映画館の話を語られた。小屋には2階があり畳敷きだったこと、その時、観たのは "ひばりちゃん" (美空ひばり)だったこと、また、『風と共に去りぬ』(ヴィクター・フレミング監督/1939/日本初公開1952年)に激しいカルチャーショックを受けたことを語られた。欧米への圧倒的な憧れは、高校時代に応募した作文コンクールで入選を果たし、パリ旅行の切符を手に入れられたことで、憧れは体験に変わった。

鹿児島出身の寺脇研氏は、高校生の頃、学校をサボって映画館はしごをしたという。観たのは日本映画ばかりで、評論を書いてはキネマ旬報誌に投稿したことを語る。氏の日本映画ツウは昔から有名で、その投稿掲載数はトップクラスであった。

と、ここで、林氏から「寺脇さんは高級文部官僚で東大卒…映画館は不良の溜り場のように言われていた。学校をサボって映画館通いしていて、どうして東大に合格されたのか?」と鋭い指摘!

寺脇氏は "幸運な1年" という表現で、学園紛争後の改革期にあった特別な受験制度=文章を書くという解答の試験に助けられたと…かわされた。

手塚眞氏は再び親子3代による映画鑑賞会の話。父上の掛声のもと、家族揃って観に出かけたのは『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督/1968年)、劇場は銀座にあった "テアトル東京" 。子どもの頃の記憶は不思議なものを観ているという体験としてしみ込んでいるという。

講座の〆としては、岐阜柳ヶ瀬にあるこの映画館 "ロイヤル劇場" という特別な存在を地元から発信して欲しい、岐阜県に東海圏に、全国に知ってもらう価値を共有しようという提案だった。

個性的な面子が並び、議論は噛み合うだろうか?という心配をよそに、まとまった提言もある楽しいひと時だった。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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