岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

ミニシアターから名画座まで…いくつもの顔を持つ街の映画館

2020年01月22日

キネカ大森(東京都)

【住所】東京都品川区南大井6-27-25 西友大森店5F
【電話】03-3762-6000
【座席】キネカ1:134席 キネカ2:68席 キネカ3:39席

 かつて、京浜工業地帯の玄関口であり、湾岸地域には多くの工場があった大森駅は、都心から程よい距離に位置する便利で住みやすい街だ。東口には大規模な集合住宅が建ち並び、駅前のロータリーには商業施設と昔ながらの飲食エリアが広がる。高度経済成長期には工場で働く工員たちの娯楽の場として、大井競馬場や平和島競艇場もできた。駅前に庶民的な酒場が多いのもその名残だ。昭和40年代後半に工場が地方へ移転すると、その跡地に緑地公園や水族館など家族で楽しめる施設ができたことから、多くのファミリー層が移り住み、現在のような様々な表情を持つ街が形成された。

 駅前にある西友大森店5階に3つのスクリーンを有する「キネカ大森」がオープンしたのは1984年3月30日。日本にまだシネマコンプレックスというシステムが存在していなかった時代、商業施設内に併設され、共通のチケットボックスとロビーを持つスタイルは、正に日本におけるシネコンの先駆けとなった。更に女性客を意識した番組編成も注目を集め、お洒落なヨーロッパ映画を観た後は、同じフロアのレストランで食事を楽しむ…という「映画+α」の新しい観賞方法を提案したミニシアターで、キネカ・マガジンという劇場オリジナルのパンフレットを発行していた事も話題になった。1998年にはアジア映画専門のミニシアターとして、社会派からB級、C級…果てはキワモノに至るまで、何でも揃えるごった煮感覚のセレクトが大きな魅力だった。

2010年からは「名画座宣言!」を行い、懐かしい二本立ての上映スタイルを復活させると、年輩から若者の間でたちまち話題となり、今や「キネカ大森」の定番となった。忘れかけていた名作と再びスクリーンで出会えたり、様々なテーマで意表を突く意外な新旧作品のカップリングで、毎回目の肥えたシネフィルを唸らせてくれるのだ。

 また、新作公開に合わせて監督や出演者の過去作の特集もファンには人気が高く、監督が学生時代に自主制作した作品にまで遡って、時には監督から借りるほど、スタッフのこだわりは徹底している。

2019年3月に35周年を迎えた「キネカ大森」。2018年にはロビーの全面リニューアルを行い、エントランスはカフェスペースに大変身。まるでリビングにいるような心地良い空間となった。このカフェスペースは外からの持ち込みもOKで、映画を観ない方の利用も大歓迎という。カフェの一角には「まちライブラリー」という、皆でお勧めの本を持ち寄った小さな図書スペースを設け、カフェ内ならば誰でも自由に読めて、会員ならば貸し出しもOKだ。

 映画ファンの憩いの場となれる映画館を目指して、いずれは映画ファン同士が繋がるコミュニティやイベントも企画しているという「キネカ大森」。そんな映画館の雰囲気が好きだから…と無償でもぎりを買って出ているのが、大森在住の俳優・片桐はいりさん。常連さんは顔馴染みだが、初めての人は殆どが二度見して驚かれるそうだ。


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2019年4月

キネカ大森のホームページはこちら
https://ttcg.jp/cineka_omori/

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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