映画の後にランチをしながら、おしゃべりを楽しむ
2019年05月22日
ガーデンズシネマ(鹿児島県)
【住所】鹿児島県鹿児島市呉服町6-5 マルヤガーデンズ7F
【電話】099-222-8746
【座席】39席
かつて、県内随一の映画街だった天文館も2006年に最後まで残っていた映画館が閉館すると、しばらく映画館の無い街になってしまった。代表を務める黒岩美智子さんは、街に映画館を復活させるのを夢見ながら、自主上映団体・鹿児島コミュニティシネマのメンバーとして、良質な作品を送り続けていた。
そんなある日、転機が訪れる。マルヤガーデンズの社長から「7階の多目的ホールを映画上映に利用してはどうか?」と提案をもらったのだ。話を進めるうちに、いっそミニシアターを作ろうということに進展。黒岩さんたちは、念願の映画館設立に向けて急ピッチで作業を進め、2010年4月…再び天文館に映画の灯がともった。
「人と人を繋ぐ場」というコンセプトで、みんなの思いが形となった「ガーデンズシネマ」。猫の額ほどの小さなロビーには、映画好きのスタッフがオススメのグッズや可愛い小物が所狭しと置かれ、狭いながらも温かみのある空間となった。エントランス前にある今週のオススメ映画コーナーのテーブルもスタッフの手作り。こんなのあったらイイよね~と、誰に言われること無く率先して作ってくれたものだ。
オープンしてしばらくの間はお客様がゼロの回もあり、決して順風満帆とは言えなかった。ところが3ヶ月後、35ミリ映写機を借りて開催した『チェコ映画祭』が成功を収める。霧島にある「バレル・バレー プラハ&GEN」というテーマパークに協賛してもらい、チェコ雑貨やチェコ料理と地ビールを楽しめるチェコ村を作ったのだ。映画にプラスαのアイデアを加える事で、映画ファンに留まらず幅広いお客様が訪れる事が実証された。
それ以来、映画と連動したイベントはコチラの名物となった。中でも、有識者を招いて、作品の時代背景などを解説してもらうシネマ講座は大人気の企画。他にも5~6人の少人数でランチやお茶を楽しみながら、映画の話をするアナログランチ会やシネマカフェは、定番のイベントとなった。ユニークなのは、マルヤガーデンズの地下にあるキッチンスタジオで、映画を製作した国にちなんだ料理教室を開催したり、『コーヒーをめぐる冒険』という映画の公開時は、周辺のコーヒーショップに協力してもらってスタンプラリーを実施。このように街ごと楽しめるのも「ガーデンズシネマ」の魅力なのだ。
出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2017年1月
語り手:大屋尚浩
平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。
語り手:大屋尚浩
平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。
鹿児島中央駅から市電に乗って10分ほど…活気溢れる中心街・天文館で降りる。天文館は市電通りを挟んで北と南に分かれており、北は昼の街として百貨店や個人商店が立ち並ぶ繁華街で、南はバーやスナックなど飲食店が軒を連ねる歓楽街として戦後から栄えてきた。そんな市電通りに面したファッションビル・マルヤガーデンズに、客席39席の小さな映画館「ガーデンズシネマ」がある。