岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

上手く見せずに上手くやれる、筒井真理子さんの素晴らしさ

2023年07月20日

『波紋』を支える筒井真理子さん

©2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

第75回CINEX映画塾は、"絶望を笑え"がキャッチコピーの『波紋』だ。主演の筒井真理子さんは、『よこがお』(2019)につづいて2度目のトークショー登場。俳優で2回来ていただけたのは松原智恵子さんのみであり、本当にありがたい。

筒井真理子さんの、一見柔和で穏やかな表情の中に潜む狂気と執念を秘めた演技は、『波紋』でも映画の芯となっていて、揺るぎない存在感を発揮している。

筒井さんは正面から見ると、弓型の目と、口角がきゅっとあがった口元が特徴の面長美人。そして『よこがお』のタイトルにも繋がった横顔は、ほどよい高さの鼻がキュートで、少し突き出た顎がバランスよく、慎ましくもあり、小悪魔的にも見える顔立ちだ。

そして筒井さんは言わずと知れた「第三舞台」の看板女優。それが映画の世界でも演技力は変わらない。ノーマルな役から、ひと癖もふた癖もある役まで、上手く見せずに上手くやるという、自然体の演技が出来る素敵な俳優さんである。

筒井さんは、映画にも多く出演。2016年には『淵に立つ』(2016)で、毎日・ヨコハマ・高崎の主演女優賞を受賞。2019年の『よこがお』では、芸術選奨を受賞など、第一線で活躍されている。

私がフィルモグラフィで確認したら『クロスファイア』(2000)から観ていたが、そこでの役は主人公・青木淳子の母。もしやと思い観た映画の配役を確認して見たら、『恋の門』2004)も、『チェケラッチョ!』(2006)も、『DIVE!』(2006)も、『アキレスと亀』(2008)も、『ヒーローショー』2010)も、『映画 みんな!エスパーだよ!』(2015)も、これらすべて主人公の母役なのだ。筒井さんの立ち居振る舞いと顔立ちが、みんなのお母さんにぴたっとはまった稀有なバイプレヤー時代だ。

今回の『波紋』は、演劇畑出身者が多い。筒井さん以外でも、柄本明さん・江口のりこさんが「東京乾電池」。平岩紙さんが「大人計画」。木野花さんが「青い鳥」。キムラ緑子さんが「M.O.P.」。磯村勇斗さんもムロツヨシさんも小劇団出身。

日本映画界の演技の質を支える演劇畑出身者。みなさんバジェットに関係なく、いい映画には採算度外視で出演するという映画愛に溢れている。筒井真理子さんは、『波紋』のために岐阜のミニシアターまで来ていただけるのだ。ありがとうございます。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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