岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

神戸の下町で、館主こだわりの二本立てに興じる

2018年10月24日

パルシネマしんこうえん(兵庫県)

【住所】兵庫県神戸市兵庫区新開地1-4-3
【電話】078-575-7879
【座席】135席

 三宮から地下鉄で10分ほど…神戸の下町にある湊川公園駅を降りる。休日には様々なイベントが催される湊川公園は、近隣住民の憩いの場だ。そんな公園の真下を、今も昭和の薫り漂う飲食店やスナックが軒を連ねるミナエン商店街が通る。その入口にあるのが、多くの映画ファンを唸らせてきた関西を代表する二本立て名画座「パルシネマしんこうえん」だ。戦前、公園の中にあった芝居小屋が、戦後に「公園劇場」という館名の映画館となったのが前身。松竹・東映・大映の二番館として『鞍馬天狗』や『一心太助』などの時代劇を掛けると、連日、あまりの人気に、場内の扉が閉まらないほどの観客が訪れたという。

 当時、湊川から新開地は神戸最大の繁華街で、最盛期は20館以上もの映画館が軒を連ねる日本屈指の興行街(チャップリンも訪れた)でもあった。だから、今も映画を観るならココ!という昔からの常連も多い。昭和46年、神戸市は湊川公園の大規模な改修を行い、盛り土をした上に公園を作り、その下に完成したミナエン商店街に映画館は移転する。やがて、日本映画の人気も下火になると、西部劇や戦争アクションを上映するようになり、男性ファンに根強い人気を誇っていた。

 現在の館名となった30年ほど前に、人間ドラマや文芸ものなど単館系の作品を取り入れると、それまでとは異なる客層の女性客も増えてきた。作品を選ぶ時も、公開が終わった映画をムーブオーバーとして上映するのではなく、ストーリーと映画的な表現が成されているか?に比重を置いて、組み合わせにもこだわった。こうした館主の妥協を許さない番組編成に、今では「良質な映画を掛けてくれる名画座」というイメージが定着して、平日でも開場30分前には列ができるほど幅広い年齢層のお客様で賑わっている。

 昔懐かしい入口に掲げられたコルトン看板に書かれた「名画をあなたに 日本の名画座BEST3 プログラムは世界No.1」という文字に誘われて、自動券売機でチケットを購入する。小さな受付を通り、地下にあるロビーへ続く階段を降りる。ロビー左手には映写室へ続く細長い階段があって、希望者は見学させてくれるのが嬉しい。休憩時間はロビーに出て、ぶらぶらチラシを物色しながら、映画館オススメ映画の推薦コメントに目をやる。会報誌の「パルしんKAWARA版」は、お客様との交流を大切にしたい…という先代の思いから始めた映画館とお客様を結ぶコミュニケーションの場となっており、今ではホームページに投稿されたお客様の声を作品選びに役立てている。

 何よりも公園の真下にある映画館というロケーションがいい。映画を観終わってもいきなり現実に引き戻されるのではなく、天気の良い日は公園を散策したりして…少し遠回りして帰るのも悪くない。新開地まで足を延ばして洋食屋に立ち寄るのもオツな映画の楽しみ方ではないか?


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2013年8月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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