岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

加賀百万石の城下町から次世代の映像作家を

2018年10月03日

シネモンド(石川県)

【住所】金沢市香林坊2-1-1 香林坊東急スクエア4F
【電話】076-220-5007
【座席】91席

 加賀百万石の城下町として栄えた古都・金沢。北陸新幹線の開業によって今でこそ駅前は賑わいを見せているが、街の中心はバスで10分のところにある香林坊だ。歩くと25分…少し遠いが、駅前通りを真っすぐ行くと、北陸の新鮮な食材が集まった近江町市場があるのだから、昼ごはんがてら寄り道するつもりでのんびり歩くことにした。市場内は網の目の様に入り組んでいる。狭い通りに軒を連ねる店はどこも活気があり、珍しい食材を見るだけでも楽しい。前日、タクシーの運転手さんから教えてもらった「市場寿司」という回転寿司屋で海鮮丼と炙りのどくろの握りを堪能する。

 市場から更に10分ほど歩いて、明治時代の近代建築物や古民家が残るひがし茶屋街へ向かう。昔の建物を雑貨屋や甘味処などに上手くリノベーションして、京都や鎌倉とは少し趣きが異なる街並みが形成されている。観光地なのだが人混みに溢れているという事でもなく、落ち着いた雰囲気が女性に人気があるのだろう。途中、明治44年創業の「ヤマト醤油味噌」で、しょうゆソフトという醤油を使ったアイス(金沢は藩政時代から続く伝統の醤油産地だ)を食べる。醤油の風味が甘さ控えめのキャラメルっぽい味でとても美味しかった。

 今回のお目当は香林坊のファッションビルに、1998年『ムトゥ 踊るマハラジャ』でオープンした石川県唯一のミニシアター「シネモンド」。近隣には兼六園や金沢21世紀美術館があり、表通りから一本奥に入ると、加賀藩の上・中級武士が暮らしていた長町武家屋敷跡が残る文化的なエリアにある。映画館は受付と小ぢんまりしたロビーだけの至ってシンプルな作り。

 フランス語で「世界の映画」という館名に込められたコンセプトのように、「ここに来れば何かやっている」と期待してもらえる劇場を目指して、金沢では観る事ができなかった作品を次々と送り続けてきた。ラインナップは実に豊かで幅広く、人間ドラマとドキュメンタリーの直後にホラーが上映されたり…まさに「世界の映画」そのものだ。

 2003年から始めた子供たちに映画に親しんでもらう「こども映画教室」も今年で15年目を迎えた。年3回のペースで、映画の歴史を学んだり、実際の映写機に触れてみて、何故止まっている絵が動いて見えるのか…といった視覚玩具を使って、映画の原理を学ぶワークショップを開催している。

 中等クラスにもなると、プロの映画監督と一緒に子供たちが映画を作る本格的な内容になっているから驚く。近年、若者の映画館離れが問題視されている中で、御礼のお手紙を送ってくれたり、お母さんと一緒に単館系の作品を観に来ている小学生がいると聞くと、もしかして、ここから何か新しいことが生まれるのでは…と、夢が膨らむ。


出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2011年8月
写真提供:シネモンド

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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