岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

未來を選べ。90年代最高の“陽気で悲惨な”青春映画

2023年11月02日

ロイヤル劇場で観た『トレインスポッティング』

©Channel Four Television Corporation MCMXCV

普段のロイヤル劇場は、かつて映画館で観た昭和の映画を懐かしむ中高年、名作珍品を劇場で観たい映画マニアなど、自分の好きな席でのんびり観ることができるが、ロイヤル劇場存続のために、岐阜まで来ていただいたゲストのトークショー付きの『トレインスポッティング』(1996)の上映は、約300席の館内がほぼ満席状態。

伝説の映画を劇場で初めて観た人やロイヤル劇場に初めて来た人も数多く、上映後は拍手も湧き起こった。クラウドファンディングに参加した私としても感無量である。

本作が日本で公開された90年代は渋谷系の音楽やファッションの全盛期で、ヴィンテージもののジーンズやスウェットが、ストレートファッションに似合うアイテムとして大ブームとなり、渋谷は90年代カルチャーを牽引する若者文化の発信地となっていた。

そんな時代の真っ只中、渋谷のミニシアター界をリードしていたシネマライズで公開されたのが『トレインスポッティング』だ。

映画のコピーは「未来を選べ。90年代最高の“陽気で悲惨な”青春映画」。ポスターの写真は、濡れたTシャツ姿で腕を固く組むレントン(ユアン・マクレガー)の上半身を捉えた姿に、シンプルなオレンジのタイトル。いま見ても最高にセンスのいいポスターだ。

トークショーに登壇したメンバーも、実にカッコいい。本作をセレクトした俳優で監督の須藤蓮さんに、大河ドラマ「どうする家康」で四天王の一人・酒井忠次役を演じた大森南朋さん、ユースカルチャーを更新し続けるクリエイティブディレクターの庄司信也さん、そして飛び入りが恵比寿の人気古着屋「TRAVIS」の店主ハラダユウキさん。ロイヤル劇場名入りの「トレインスポッティング」Tシャツを作った方だ。

トークでは、当時流行った『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998)や『バッファロー'66』(1998)というスタイリッシュで斬新な映画も含め、当時のカルチャーを縦横無尽に語っていただいた。

公開当時私は38歳。ファッションにはとんと無縁だったが、96年のマイベストテンでは10位に選んでいる。映画の詳しい内容は忘れていたが、スコットランド一汚れたトイレの印象はトラウマのように強烈に覚えている。

今観てもぶっ飛んだ映画であり、若者に勧めてもいいか戸惑ってしまう映画。でも語りたくなる映画であることだけは間違いない。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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