岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

名優ソン・ガンホと共に光州事件を目撃せよ

2018年07月22日

タクシー運転手 約束は海を越えて

©2017 SHOWBOX AND THE LAMP. ALL RIGHTS RESERVED.

【出演】ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン、リュ・ジュンヨル
【監督】チャン・フン

作品のクオリティーを引き上げるソン・ガンホの演技

 1980年に韓国で起きた光州事件を題材にした実話の映画化で、監督は『義兄弟 SECRET REUNION』のチャン・フン、主演は名優ソン・ガンホ。

 ソン・ガンホが演じるのは、高額の報酬目当てでドイツ人ジャーナリストをソウルから光州まで乗せる個人タクシーの運転手。日頃自身が仕事で迷惑を被っていることもあり、デモには否定的な主人公が、光州で自国の軍隊がデモをする一般市民に銃を発砲し多くの死傷者が出る光景を目の当たりにし、身の危険も顧みず彼らに加担していく。

 こういう役はソン・ガンホの十八番。『弁護人』では、金儲けにしか関心のなかった弁護士が、ある冤罪事件に関わることで人権派弁護士として国家権力と対峙する姿を演じた。また、『密偵』では、日本統治下の朝鮮で日本警察に所属する警部が、敵対する独立運動団体「義烈団」に徐々に加担していく姿を演じた。

 『弁護人』も『密偵』も、ソン・ガンホの親しみやすいキャラクターと説得力のある演技が観客を引き込み、作品のクオリティーを引き上げ傑作たらしめた。今作も、そんなソン・ガンホの好演に支えられ、チャン・フン監督の力量と相俟って、韓国の歴史的悲劇を再現した傑作となった。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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