岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

夫婦の熱い愛情を映し出した正当なドキュメンタリー

2024年09月26日

エターナルメモリー

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【出演】パウリナ・ウルティア、アウグスト・ゴンゴラ
【監督】マイテ・アルベルディ

永遠の記憶のための記録

ある夫婦のはなし

アウグスト・ゴンゴラはチリの著名なジャーナリストである。と、言っても日本では一般的には知られているとは言えない。

アウグスト・ゴンゴラは、1952年南米チリに生まれ、カトリック系の大学では、ジャーナリズムを学んだ。

チリでは1973年から、アウグスト・ピノチェトによる軍事独裁制が引かれた。ゴンゴラは76年頃から、軍事政権下で弾圧の犠牲者となった人とその家族を支援する人権団体の発行する機関誌の編集者を務めた。また、それに並行して、厳しい検閲を回避することを目的としたニュース番組の司会者も務めている。

ピノチェト政権の終焉後は、それまでの独立系のメディアから国営放送局のチリ国営テレビに関わり、民主主義への回帰が確認された後は、文化番組に関わるようになった。

パウリナ・ウルティアは、1969年チリ・サンティアゴ生まれで、演劇、映画、テレビで女優として活躍し、チリでは有名な存在となっているが、やはり、日本ではあまり知られていない。

女優業のかたら、活発な政治活動をしていたこともあり、民主化されたチリで文化省が設立されると、その初代の大臣に任命された。その後は、大学で演劇学部の学長を務めた。

アウグストとパウリナが出会ったのは、共通する政治的な根っ子があっても、文化的な畑でのことで、恋愛関係は1997年頃からはじまった。

アウグストがアルツハイマー病と診断されたのは、2014年、62歳の時だった。病は緩やかにだが進行していく。ふたりが正式に結婚したのは、その後の2016年6月17日だった。

監督のマイテ・アルベルディは、前作『83歳のやさしいスパイ』(2020年/劇場公開は2021年)で、チリの女性として初のアカデミー賞にノミネートされた注目の映像作家。

映画の製作、撮影に同意し、積極的だったのはアウグストだった。「弱っていく自らを見せることに、問題はない」…4年に及ぶ撮影は、記憶をなくすことの恐怖に対峙し、夫婦の深い愛を克明に記録している。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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