岐阜新聞 映画部

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海女ちゃん巻き込まれる犯罪エンタメ映画

2024年09月12日

密輸 1970

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【出演】キム・ヘス、ヨム・ジョンア、チョ・インソン、パク・ジョンミン、キム・ジョンス、コ・ミンシ
【監督】リュ・スンワン

公害もつながるけれど心意気にも同調感がある

公害のはなし

日本では敗戦後、経済の急成長期に全国各地で公害が多発するようになり、社会問題化した。

公害病としては熊本県水俣市の水俣病、新潟県阿賀野川流域の新潟水俣病、富山県神通川流域のイタイイタイ病、三重県四日市市の四日市ぜんそくが、4大公害病として有名だが、排水による河川、海洋汚染、排煙、自動車排気ガスによる大気汚染は、マクロ的には全国各地に存在した。

最近、ちょっと復活した光化学スモッグや、ゴジラと対決する公害怪獣ヘドラを生んだヘドロは、当時を象徴する身近な公害を指す言葉だった。

1970年代半ばの韓国の漁村クンチョンが舞台。村では生活の糧であった海が、化学工場が垂れ流す廃棄物によって汚染され、素潜り漁を生業とする海女たちは危機感に迫られていた。

ある日、海女グループのリーダー・ジンスクは、危ないことだとわかっていながらも、背に腹はかえられぬ思いで、海底に沈んでいる密輸品を引き揚げる仕事を請負ってしまう。

悪い予感は的中し、作業中に関税の摘発に遭い、ジンスクもろともメンバーの殆どが逮捕されてしまう。しかし、ただひとり、ジンスクの盟友チュンジャだけは、現場からの脱出に成功した。

そして2年後、逃亡先のソウルから戻ってチュンジャは、出所したジンスクに儲け話を提案するのだが、これが性懲りも無く、密輸絡みだった。

韓国と日本には、多少の時代差があるが、高度経済成長の弊害としての公害は、少なからず重なる部分もある。70年代という時代色も風俗として色濃く反映されている。

美味い儲け話に群がる魚は少なくない。百戦錬磨の密輸王クォン、チンピラのドリ、そこに税関の役人が絡むごった煮の韓国映画らしい展開。

スタイリッシュな欧米の犯罪ものとは違い泥臭く、犯行の過程はずさんで、頼りなさすら感じさせるのも、ユーモアを含めた特色でもある。

物語のアイデアとエンタメ化する技には関心することしきりだが、やっぱり、個人的には満腹、胸やけは程々にしたいと、余計な一言。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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