岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品幸せのイタリアーノ B! 嘘つきシニョーレと車椅子セニョリータの大人のラブストーリー 2024年09月10日 幸せのイタリアーノ ©2020 WILDSIDE-VISION DISTRIBUTION 【出演】ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミリアム・レオーネ、ピエトロ・セルモンティ、ヴァネッサ・スカレーラ、ピラール・フォリアティ、アンドレア・ペンナッキ、カルロ・デ・ルッジエーリ、ジュリオ・バーゼ、ピエラ・デッリ・エスポスティ(友情出演)、ミケーレ・プラチド(特別出演) 【監督】リッカルド・ミラー二 おバカで小粋で皮肉が効いた、これぞイタリア映画 イタリア映画『幸せのイタリアーノ』は、2019年7月にCINEXでも上映されたフランス映画『パリ、嘘つきな恋』のリメイクである。 私が当時書いたレビューの大見出しは“嘘つきムッシューと車椅子マドモアゼルの大人のラブストーリー”だったが、そっくりそのまま“嘘つきシニョーレと車椅子セニョリータの大人のラブストーリー”で間違いない。ただし“ラブストーリー”は英語なので、ミックス外国語ではある。 原題で言えば「みんな立ち上がろう」から「あなたのもとに走る」に代わったのだが、邦題の苦心の跡がうかがえる。 たまたま亡き母の車椅子に乗っていたスポーツシューズ会社の経営者で女たらしのジャンニ(ピエルフランチェスコ・ファビーノ)が、向かいの部屋に住むアレッシア(ピラール・フォリアティ)に身体障害者と勘違いされて、最初はアレッシアを口説きにかかるが、実家に行ったところで姉の車椅子のヴァイオリニスト・キアラ(ミリアム・レオーネ)を紹介される。 その後の顛末は、「本当は健常者なんです」と言うきっかけを失ってしまうことによる勘違いコメディで、「いつ気が付かれるか」が大きな笑いどころである。 「障害者×感動」の方程式が気持ち悪いと思うのは、私だけではないだろう。車椅子障害者の「こっちが悪いのに相手が先に謝ってくる」とか、視覚障害者が本を読んでいるだけで「凄いですね」と褒められる、発達障害者には天才が多いとおだてられるなど、当事者は苦笑するしかない。 本作が素晴らしいのは、一般の人が持っている「障害者への接し方がわからない」に対する、ひとつの答えが描かれていることだ。障害者を辱めたりからかうなど「笑いものにする」人はいない。むしろ障害を逆手にとって「笑わせ」ているのだ。 映画はドタバタ要素も満載で、あの手この手で笑わせにかかってくる。おバカで小粋で皮肉が効いた、これぞイタリア映画である。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (4)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2022年11月23日 / シネマ・ロサ(東京都) 池袋の歓楽街にある映画館で街ごと映画を楽しむ。 2021年05月26日 / 【思い出の映画館】銚子セントラル(千葉県) ドラマ『港町純情シネマ』の舞台となった映画館 2021年11月24日 / 【思い出の映画館】テアトル石和(山梨県) ぶどう園の真ん中にポツンと佇む映画館。 more
おバカで小粋で皮肉が効いた、これぞイタリア映画
イタリア映画『幸せのイタリアーノ』は、2019年7月にCINEXでも上映されたフランス映画『パリ、嘘つきな恋』のリメイクである。
私が当時書いたレビューの大見出しは“嘘つきムッシューと車椅子マドモアゼルの大人のラブストーリー”だったが、そっくりそのまま“嘘つきシニョーレと車椅子セニョリータの大人のラブストーリー”で間違いない。ただし“ラブストーリー”は英語なので、ミックス外国語ではある。
原題で言えば「みんな立ち上がろう」から「あなたのもとに走る」に代わったのだが、邦題の苦心の跡がうかがえる。
たまたま亡き母の車椅子に乗っていたスポーツシューズ会社の経営者で女たらしのジャンニ(ピエルフランチェスコ・ファビーノ)が、向かいの部屋に住むアレッシア(ピラール・フォリアティ)に身体障害者と勘違いされて、最初はアレッシアを口説きにかかるが、実家に行ったところで姉の車椅子のヴァイオリニスト・キアラ(ミリアム・レオーネ)を紹介される。
その後の顛末は、「本当は健常者なんです」と言うきっかけを失ってしまうことによる勘違いコメディで、「いつ気が付かれるか」が大きな笑いどころである。
「障害者×感動」の方程式が気持ち悪いと思うのは、私だけではないだろう。車椅子障害者の「こっちが悪いのに相手が先に謝ってくる」とか、視覚障害者が本を読んでいるだけで「凄いですね」と褒められる、発達障害者には天才が多いとおだてられるなど、当事者は苦笑するしかない。
本作が素晴らしいのは、一般の人が持っている「障害者への接し方がわからない」に対する、ひとつの答えが描かれていることだ。障害者を辱めたりからかうなど「笑いものにする」人はいない。むしろ障害を逆手にとって「笑わせ」ているのだ。
映画はドタバタ要素も満載で、あの手この手で笑わせにかかってくる。おバカで小粋で皮肉が効いた、これぞイタリア映画である。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。