岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

嘘からはじまるロマンチックコメディ

2024年09月06日

幸せのイタリアーノ

©2020 WILDSIDE-VISION DISTRIBUTION

【出演】ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミリアム・レオーネ、ピエトロ・セルモンティ、ヴァネッサ・スカレーラ、ピラール・フォリアティ、アンドレア・ペンナッキ、カルロ・デ・ルッジエーリ、ジュリオ・バーゼ、ピエラ・デッリ・エスポスティ(友情出演)、ミケーレ・プラチド(特別出演)
【監督】リッカルド・ミラー二

プレイボーイが辿り着く恋の行方

本作の元版である『パリ、嘘つきな恋』(フランク・デユポスク監督・脚本/2018年)は、日本では2019年の5月に公開されたフランス映画で、嘘からはじまる大人のロマンチックコメディとして、印象に残っている。

日本語の題名には物語のきっかけとなる "嘘" が、直接的に表現されているが、原題には「みんな立ちあがろう』という意味があり、物語の状況と展開をともに含ませているところが、フランスらしくエスプリが効いている。

有名シューズブランドのやり手の経営者ジャンニは、49歳独身で私生活では肉食系男子のプレーボーイ。

ある日、母親が亡くなり、主なき実家を訪れると、思い出に染まった数々の遺品の中、孤立するような場違いな車椅子が目につくが、これも老いた母が使っていた紛れもない遺品だと気づく。

たまたま座った車椅子姿で隣家に引っ越してきたという女性に遭遇してしまう。

日頃の習性というのは恐ろしいもので、出会った女性を口説く手段として、車椅子を使うまだ若き男を演じるジャンニは、車椅子を憐れみに利用することに、何ら後ろめたさも感じてはいなかった。

招待されたパーティーで紹介されたのは、車椅子に座った美しい女性キアラだったが、彼女はバイオリニストとして活躍するかたわら、車椅子テニスにも情熱を持って取組むという、憐れみとは無縁のキラキラと輝く活動的な女性だった。

ジャンニはたちまち恋に落ちる。

リメイク作品を比較してみると、設定、進行はともに元版に忠実だと言えるが、あえて、大きな違いとして指摘したいのは、キャスティングの効果による、役柄の個性の変容である。

『パリ、嘘つきな恋』では、ジョスランとなる主人公の男は、フランク・デュポスクというフランスのコメディアンが演じていて、らしさの際立つ口八丁ぶりと軽いフットワークで口説くのだが、本作のジャンニを演じたピエルフランチェスコ・ファビーノは、所謂、肉体派。個性は映画の雰囲気を少し変化させる。好みは分かれるかも⁈

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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