岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

素晴しい楽曲、吹替なしの圧倒的歌唱、ゴージャスな美術

2024年08月08日

オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター

© 2004 The Scion Films Phantom Production Partnership

【出演】ジェラルド・バトラー/エミー・ロッサム/パトリック・ウィルソン 他
【監督】ジョエル・シュマッカー

ファントムの出生の秘密は映画版だけ

ガストン・ルルー原作の「オペラ座の怪人」(1910年出版)は、サイレント時代の1916年に初めて映画化されて以降、9本の映画がある。有名なのは1925年のロン・チェイニー主演『オペラの怪人』(サイレント/キネ旬6位)と、1943年のクロード・レインズ主演『オペラ座の怪人』(アカデミー撮影賞/色彩美術賞受賞)だが、アンドリュー・ロイド=ウェバー版のミュージカルを基にした作品は本作が初めてである。

アンドリュー・ロイド=ウェバー(1948~)作曲のミュージカル「オペラ座の怪人」は1986年にロンドンで初演、米でトニー賞を受賞するなど大きな成功をおさめ、日本では1988年から劇団四季が独占的に上演している作品だ。

私は舞台版を観たことがないが、このジョエル・シュマッカー監督作品は公開当時観ている。今回CINEXで4K版を観直したが、正直言って初めて観たくらいの体験だった。

1919年のパリ、モノクロームで映し出されるオペラ座は廃墟同然。劇場で使われていた備品のオークションの中に、かつての惨劇の象徴であるシャンデリアがあった。覆いが取り除かれると、ゴージャスで熱気あふれる1870年当時のオペラ座がカラーで映し出される。映画ならではのダイナミックな演出だ。

映画的リアリティよりも舞台的ゴージャスさに重きがおかれているが、決して舞台っぽくはなく、流麗なカメラワークや派手なスペクタクルで、映画としてのよさが十二分に発揮されている。

楽曲の素晴らしさは言うまでもなく、オペラ座の怪人ファントム役のジェラルド・バトラー、無名のオペラ歌手クリスティーヌ役のエミー・ロッサム、幼馴染の青年貴族ラウル役のパトリック・ウィルソンの主演3人の吹替なしの歌唱は圧倒的で、物語のことは忘れて聴き入ってしまう。

ファントムの出生の秘密は映画版だけらしいので、舞台版が好きな人もみんな観に行きましょう。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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