岐阜新聞 映画部

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キュートで青いレモンの味がする青春恋愛映画だ

2024年08月01日

ふたごのユーとミー 忘れられない夏

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【出演】ティティヤー・ジラポーンシン、アンソニー・ブイサレート
【監督・脚本】ワンウェーウ & ウェーウワン・ホンウィワット姉妹

“恋”だけはシェアするわけにはいかない

本作はいつものように何の予備知識も入れずに観たのだが、エンディング・クレジットでふたごの姉妹ユーとミーを、ティティヤー・ジラポーンシンという一人の女優が演じていたとわかった時は、驚きを禁じ得なかった。違和感が全くないのだ。

私の中でのふたごと言えば、何と言っても『八つ墓村』の小竹と小梅の婆さんふたごだ。1977年の野村芳太郎監督版では、市原悦子さんと山口仁奈子さんが演じていて、メイク技術でそっくりだけどどこか違っていてリアリティがあったが、1996年の市川崑監督版では、岸田今日子さんが一人で演じたCG合成で、いかにもな感じで違和感ありまくりだった。

本作の一卵性双生児のユーとミーはうりふたつ。違いはミーにはほくろがあることで、ユーが付けぼくろを付けて、ミーがファンデーションで隠せば、たちまち入れ替われるのだ。

そんな二人が思春期になったとき、両親の離婚の危機で、もしかしたら離れ離れになってしまうかもしれない状況になってしまう。

夏休み、タイ東北部ナコーンパノムの祖母の家で暮らすことになった二人の前に現われたのが、マーク(アントニー・ヴィサレー)という同級生のチャーミングな少年だ。二人は同時にマークに恋をする。淡い初恋だ。

いつもは2人で何でも分かち合ったり、入れ替わったりして楽しんでいるが、“恋”だけはシェアするわけにはいかないところが何とも切なくほろ苦い。

そして主人公が過ごすナコーンパノムの郷愁を誘う風景や、ピン(タイ式マンドリン)が奏でる優しい音が、ちょっとスリリングな初恋を彩っている。

監督・脚本は、主人公と同じ一卵性双生児のワンウェーウ&ウェーウワン・ホンウィワット姉妹だ。彼女たちの人生経験での「ふたごあるある」が散りばめられていることだろう。優しさいっぱいだ。

“微笑みの国”タイからやってきた、キュートで青いレモンの味がする青春恋愛映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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