岐阜新聞 映画部

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白石和彌監督初の時代劇は、落語が下敷きの人情喜劇だ

2024年07月11日

碁盤斬り

©2024「碁盤斬り」製作委員会

【出演】草彅剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真/市村正親、立川談慶、中村優子、斎藤工、小泉今日子/國村隼
【監督】白石和彌

囲碁のライバル同士、草彅剛さんVS.國村隼さん

本作は、古典落語の演目「柳田格之進」の映画化である。

落語の映画化と言えば、日本映画史上の傑作である、川島雄三監督・フランキー堺主演の『幕末太陽傳』(1957/キネ旬4位)がまずあげられる。「居残り佐平次」を中心に「品川心中」「三枚起請」「お見立て」などの廓話が散りばめられた軽快なコメディー映画だ。

そして山田洋次監督の初期の人情喜劇でハナ肇主演の『運が良けりゃ』(1966/キネ旬29位)である。こちらは「らくだ」「さんま火事」「黄金餅」などが下敷きとなっていて、程よいテンポと漲るパワーを感じさせられる佳作だ。

映画の前半は江戸の町長屋を中心とした人情話、後半は濡れ衣を着せられた素浪人の復讐話となっている。タイトルの「碁盤斬り」はネタバレ要素大だが、映画を観ている最中は気が付かなかった。うまいタイトルだ。

『碁盤斬り』の監督は、若松プロ出身の白石和彌さんだ。白石監督と言えば、人間の内面を生々しく切り取り、内に秘めた暴力性を圧倒的なバイオレスで表現する作品がすぐに思い浮かぶが、本作は白石監督初の時代劇であり、どちらかと言えば人情喜劇の要素が強い娯楽作だ。バイオレンスシーンもあるにはあるが、圧倒的に多いのは囲碁のシーンだ。

将棋は相手のコマをとって追い詰めていくゲームなので、映画のビジュアルとしてはわかりやすいが、囲碁は陣取りゲームなのでビジュアル的にはわかりにくい。しかし白石監督はその弱点を、俳優の表情と演技でカバーしていく。

それに答えるのが主役の2人、訳ありの素浪人・柳田格之進役の草彅剛さんと、質屋の主人・萬屋源兵衛役の國村隼さんだ。國村さんはもちろん草彅さんが素晴らしい。盲目の按摩さんやトランスジェンダーの踊り子が話題を呼んだが、エキセントリックな役でなくとも十分上手い。わざとらしさが無く、キャリアハイだと思う。

白石監督の初時代劇は満足感一杯である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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