岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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ジョン・レノンの素顔が見られる貴重なドキュメンタリー

2024年06月20日

ジョン・レノン 失われた週末

© 2021 Lost Weekend, LLC All Rights Reserved

【出演】メイ・パン、ジョン・レノン、ジュリアン・レノン、ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン
【監督】イヴ・ブランドスタイン、リチャード・カウフマン、スチュアート・サミュエルズ

「失われた週末」でなく「実りある週末」だ

ジョン・レノン(1940-1980)は、1968年に前妻シンシアと離婚した後、1969年3月にオノ・ヨーコと結婚した。しかし1980年12月の衝撃的な死までヨーコひと筋だったわけではなさそうだ。

1973年の秋から1975年初頭のいわゆる「失われた週末」と言われた18か月間は、酒飲み仲間たちとアルコールやドラッグ漬けになり、ヨーコに愛想をつかされ別居していた時期だ。ちなみに「失われた週末」とは、アルコール依存症の男の恐怖と苦悩を描いたビリー・ワイルダー監督のアカデミー作品賞受賞作(1945年)で、ジョン自身がそこから拝借して自虐的に名付けてファンの間で定着した。

本作は、ヨーコ公認の秘書で、別居生活の面倒を見るよう仰せつかったメイ・パンの目を通じて語られた、「失われた週末」の真実の姿である。

メイ・パンの証言や残された写真や映像で、今まで知らなかった驚くべき事実が次々と明かされる。例えばメイ・パンの仲立ちで、前妻シンシアとの息子ジュリアンと親子関係を修復したことや、この期間に発表されたアルバム「マインド・ゲームス(ヌートピア宣言)」や「心の壁、愛の橋」のレコーディングの現場にはリンゴ・スターがいるし、犬猿の仲と言われたポール・マッカートニーが突然やってきてヨーコからのメッセージを渡し、仲良く談笑している姿など衝撃的だ。むしろ「実りある週末」である。

しかしヨーコの強さは本物だ。永住権を求めてのストレスやジョンの女性問題などで夫婦仲がうまくなかった時、メイ・パンに「恋人がいないんだったらジョンと付き合ってよ」と頼んでしまう図々しさ。2週間だけの予定が、本物の恋愛感情に発展していくと、2人の仲を邪魔をして呼び戻そうとする身勝手さ。ジョンは浮気というよりも、2人ともに区別なく好きだったことがうかがえる。

ジョン・レノンの素顔が垣間見られる貴重なドキュメンタリーである。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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