岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

スーパースターと結婚した、1人の女性の自立への物語

2024年06月13日

プリシラ

© The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023

【出演】ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ
【監督・脚本】ソフィア・コッポラ

気品があって素晴らしいケイリー・スピーニー

プリシラ・プレスリー(1945ー)は、私の年代的には『裸の銃を持つ男』シリーズ(1988-1994)のヒロイン役が強烈だが、もちろんエルヴィス・プレスリー(1935-1977)の元妻(1967結婚-1973離婚)であるわけで、本作のエグゼクティブプロデューサーの1人でもある。

『プリシラ』は、稀代のスーパースター:エルヴィス・プレスリーと14歳で出会ったプリシラが、17歳で一緒に暮らし、21歳で結婚、22歳でひとり娘リサ・マリーが生まれ、28歳で別れるまでの15年間を描いた1人の女性の自立への物語である。

プリシラがエルヴィスと出会ったのは、すでに圧倒的な人気を誇っていた彼が、徴兵制度によって西ドイツにあるアメリカ陸軍で勤務していた1959年の9月のことだ。

14歳の普通の女の子が10歳年上の憧れのスターと仲良くなり、やがて結婚にまで至るという嫉妬するほどのシンデレラストーリーであるが、今の視点から見れば彼女に決定権はほぼなく、特に結ばれてからは苦難の連続である。

西ドイツ時代にエルヴィスの家のパーティに招待されて見染められるが、そのパーティへ行けたのは絶対的権限者であった軍人の父が許してくれたからであり、彼女に権利はなかった。

グレースランドのエリヴィスの家に行ってからも、そこは男性中心のホモソーシャルであり、女性はあくまでも男性から「庇護」され男性の生活を「助ける」立場であった。とくにスターの彼の周りはとりまきが多く、2人っきりの場面はほとんどない。

すごいのは性交渉で、結婚するまでなかったようだが、いつするかも彼女に決定権は無かったのだ。

エルヴィスとの生活がすべてであったプリシラは、次第に自立の心が芽生えてくる。そしてエリヴィスに強引にSEXを迫られるのをはねつけて離婚を決意するのだ。

プリシラを演じたケイリー・スピーニーが、気品があって素晴らしい。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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