岐阜新聞 映画部

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プレスリーと恋に落ちた14歳の少女のシンデレラストーリー

2024年06月13日

プリシラ

© The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023

【出演】ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ
【監督・脚本】ソフィア・コッポラ

女性に変貌する少女と子どものようなスターの素顔

一昨年公開された『エルヴィス』(バズ・ラーマン監督)は、"キング・オブ・ロックンロール" と称されたエルヴィス・プレスリーの、光と影の人生を描いた伝記映画だった。

その物語での比重は、プレスリーのマネージャーであったトム・パーカーとの関係性に傾きがちだで、『プリシラ』のタイトルロールである、プレスリーの妻プリシラは、登場はするが、脇役に押しやられていた。

原作は1985年に出版された、プリシラ・プレスリーの回想録(サンドラ・ハーモンとの共著)で、本作では一転、あくまでも彼女目線で描かれ、極端な比較をすれば、恋人=夫としてのプレスリーは存在するが、アーティストとしてのパフォーマンスシーンは殆ど登場しない。

まだ幼なさのある14歳のプリシラは、西ドイツの米軍基地のダイナーで、憧れのスター、エルヴィス・プレスリーと出会う。そしてたちまち恋に落ちる。

そんな彼女を両親はあたりまえの親心で心配するのだが、その反対を押し切るようにして、エルヴィスの大邸宅での生活を選択する。

エルヴィスの周辺で繰り広げられる煌びやかな華やかな世界に浸るプリシラ。彼女が直面するのは、想像を超えた環境とエルヴィスの素顔だった。

序盤、恋に落ち、夢の国に誘われるような、期待と戸惑いの心理の揺れが、スピーディーに描かれる。一方、実生活でのエルヴィスは、独自の価値観を自分の妻となるべきプリシラに押しつけてくるようになる。そこで芽生える新たな疑心。

ソフィア・コッポラ監督の演出は華麗でポップな陽と、苦悩に移りゆく重厚な陰を巧みに使いわける。

プリシラを演じるのはアクション大作『パシフィック・リム・アップライジング』(スティーブン・S・デナイト監督/2018年)で注目された、ケイリー・スピーニーで、幼なさの残る14歳から、大人の女性への成長を見事に演じ、昨年の第80回ベネチア映画祭で最優秀女優賞を受賞した。彼女の存在が作品を支えた、と言っても過言ではない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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