岐阜新聞 映画部

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中国の母なる大河の源流を辿る "大河ドキュメンタリー"

2024年06月12日

劇場版 再会長江

©2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ

【監督】竹内亮

ハイテンションに明るいが映されたものに許可証が見える

大河は人を魅了する。

1981年に公開された『長江』は、シンガーソングライターのさだまさしが、中国の大河 "長江" の源流を辿る旅を記録した映画で、旅の行程は3200キロに及び、撮影には1年半の期間を要した。撮影に使用したフィルムは113万フィート。この数字はピンとこないが、映画の上映時間140分の100倍にあたる長さである。さだまさしは自ら監督し、勿論、音楽も担当している。

この作品の製作の動機は、かつて、さだの祖父が暮らした故郷を見てみたいという、言わば、原点回帰に似た衝動による。

この映画で話題になったのは、自費による製作によって生じた借金のことで、その金額は35億円と言われ、返済のためにさだは年間100本以上のコンサートを行うようになった。完済には30年近くかかったとされ、その間のソロコンサートは4000回に達した。自身はこれを自虐ネタにしているくらいだから、ソングライターさだまさしは借金を苦とは感じていなかったのかも知れない。

撮影は長江の流域に住む人々の姿を初めて納めた世界初の記録で、共同制作に携わった中国中央電視台は、『長江』の撮影映像に独自取材を加えた再編集版のドキュメンタリーをTV放映した。この番組は25回の放送で平均視聴率は40%を超え、中国ドキュメンタリー史に残る作品と評価されている。

『再会長江』は、南京在住のインフルエンサー竹内亮が、同じ動機、"長江源流の最初の一滴" を見たいという衝動によって撮影されたドキュメンタリーである。

この映画には "源流" がある。

竹内監督は10年前、NHKの番組「長江 天と地の大紀行」を制作撮影している。中国の母なる大河を描くその撮影体験は、大きな転機となり、2013年には中国に移住、映像製作会社を設立するに至る。そして10年前にやり残した後悔を埋める旅は2021年に始まった。

笑顔が絶えない明るい中国がそこにある…部外の外国人では撮れなかったんだろう?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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