岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

theater somewhere

柳ヶ瀬商店街で
映画文化を送り続ける老舗映画館

2017年12月01日

岐阜CINEX(岐阜県)

【住所】岐阜県岐阜市日ノ出町2-20
【TEL】058-264-7151
【座席】スクリーン1:290席 スクリーン2:192席
    スクリーン3:88席  スクリーン4:69席

 名古屋から岐阜まではJR東海道線の快速に乗って20分ほど…。街のランドマークとして市民の憩いの場となっている金華山に立つ岐阜城の城下町で、駅前広場には黄金の織田信長公の像が立つ。岐阜を舞台にした映画で思い出すのが奥田瑛二監督の『長い散歩』だ。場所は、長良川鉄道の洲原駅にある洲原神社。その敷地内にある羅生池という長良川上流にある入り江で、虐待を受けていた隣人の少女を守るため逃避行をしていた主人公・緒形拳の目の前で、旅先で出会った松田翔太演じる若者が拳銃自殺をする夢とも現実ともつかない衝撃的なシーンが撮影された。また、長良川鉄道の終点・郡上八幡は、神山征二郎監督が戯曲「郡上の立百姓」を映画化した『郡上一揆』の舞台でもあり、岐阜県のご当地映画としてヒットしたのも記憶に新しい。
 岐阜駅北口を出ると、Uの字に伸びるデッキが目の前に広がる。そのアーチの美しさから中部の駅百選に選ばれたのも納得できる。天気が良いので駅から真っ直ぐ伸びる大通りを長良川方面に向かってブラブラ歩く。目的は、昭和の佇まいを色濃く残す柳ヶ瀬商店街にある映画館「CINEX」だ。オフィスビルが建ち並ぶ駅前から15分ほど…古くから県下最大の繁華街だった柳ヶ瀬には、現在も劇場通りという名称が残っているように最盛期は10館近くの映画館が軒を連ねる映画街があった。
 「CINEX」の前身は、昭和31年にオープンした大劇場「岐阜東宝」と地下にあった「岐阜松竹地下劇場」だ。平成7年に地上階に4スクリーン、地下に多目的ホールを有する映画館ビルとして生まれ変わった。この街なかの映画館には、近隣のデパートでショッピング帰りの女性グループが、映画と食事を楽しむ姿がよく見られる。番組編成もロードショー作品をメインとしつつ、こうした女性客に向けて、岐阜公開の機会が少ない小品ながらも良質の作品を積極的にセレクトしている。

 7階にある「CINEX1」のロビーは、女性を意識したホテルのような気品をイメージしたデザインとなっており、受付はまるでコンシェルジュのような佇まいだ。壁面から天井にかけて柔らかなアール状に融合された細やかな設計は、既成の劇場デザインには無いこだわりを感じる。5階の「CINEX2~4」は近代モダン調のメタリックなイメージを基調としており、ユニークなのは場内の扉がガラス張りとなっているところ。ロビーの明かりがガラスを通って場内に入るのでは?と思っていると、実は、ガラスは二重構造となっており、予告編が始まると遮光スクリーンが降りて来たのには驚いた。映画館の場内が、扉越しに見えることで空間の奥行きを感じさせるデザインとなっているのは見事だ。

 商店街のお店に映画のチラシを置かせてもらったり、映画館と街の双方向で協力しながら活性化を図ろうと活動を始めて、少しずつ街にも活気が戻ってきた。何があっても映画館を続けるという方針で、一丸となって頑張っている「CINEX」。ビジネスとしてではなく文化として映画を愛している企業がある限り、柳ケ瀬の通りから映画の灯は消えることは無いだろう。

出典:映画館専門サイト「港町キネマ通り」
取材:2012年9月

語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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語り手:大屋尚浩

平成12年から始めた映画館専門サイト「港町キネマ通り」にて全国の映画館を紹介している。自ら現地に赴き、取材から制作まで全て単独で行う傍ら、平行して日本映画専門サイト「日本映画劇場」も運営する。

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