岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

映画製作の舞台裏と内幕を描くナンセンスコメディ

2024年06月10日

すっかり…その気で!

【出演】ビートたけし、烏丸せつこ、本田博太郎、植木等、江木俊夫、塩沢とき、片岡鶴太郎
【監督】小谷承靖

DVD化はおろかサブスクでも扱われていない貴重作

「ロイヤル、思いやる」プロジェクト~第2回クラウドファンディング返礼リクエスト上映~で『すっかり…その気で!』(1981)を観た。当日はこのクラファンに応募してくださったFさんが舞台挨拶されたが、次週上映の『喜劇役者たち 九八(クーパー)とゲイブル』(1978)とも、今回初めて観るとのこと。それもそのはず、両作品ともDVD化はおろかサブスクでも扱われておらず、劇場で観るしかないのだ。本当に頭の下がる思いである。

『すっかり…その気で!』は1982年の東宝の正月映画で、たのきんトリオの『グッドラックLOVE 』と併映され、寅さん映画とほぼ同じ配給収入(10億5千万円)をあげた。ちなみに1位は東映の『セーラー服と機関銃』で配収23億円である。当時は漫才ブーム真っ只中にあり、なかでもビートたけしのツービートはアイドル的人気だったことがよくわかる。

映画製作を夢見る男が、あの手この手で製作資金を集めるというナンセンスコメディで、主役は、弱小芸能プロの従業員でプロデューサーの伊藤たかし(ビートたけし)、たまたま計画に加わることになった整形外科に勤める春日さちこ(烏丸せつこ)、食うに困っている映画監督の山川俊介(なべおさみ)だ。

脚本が東宝の都会派喜劇・植木等の「日本一シリーズ」や「クレージーキャッツシリーズ」の田波靖男ということもあり、人情喜劇とは一線を画した、カラッと乾いたドタバタ調となっている。製作する映画のタイトルが「瀬戸際のコッコちゃん」で、バスの中の教室というパロディはバカに可笑しいし、さらに右翼の大物宅にセスナ機で突っ込んでいった自爆テロ事件を彷彿とさせる時事ネタも入っており、結構アナーキーな作りにもなっている。

映画製作の舞台裏と内幕を描いた作品としては、自虐ネタや楽屋落ちも含め、頭を空っぽにして笑えるのだ。B級映画マニアの方々、必笑必見です。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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