岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

同じ映画の内容でも情勢が変わると見え方が違ってくる

2024年06月05日

妖怪の孫

© 2023 「妖怪の孫」製作委員会

【監督】内山雄人

なぜ安倍首相は人気があり支持率が高かったのか?

『妖怪の孫』は2023年の3月に観て岐阜新聞映画部Webにも映画評を書いているが、現在の政治状況は劇的に変わっている。岸田内閣の支持率も自民党の支持率も低迷し、政権交代を望む声が自公現状維持を上回っている。

映画の冒頭とラストに現在の岸田首相の記録映像を付け加えた緊急リバイバル上映を観たが、同じ映画の内容でも情勢が変わると見え方が違ってくる。預言と言ってもいいが、問題を正確に捉えていたからこその映画の力であるのだ。

本作の企画プロデューサーで元通産・経産官僚の古賀茂明さんの著書「分断と凋落の日本」(講談社)の帯コピーにある「経済衰退、格差拡大、原発回帰、軍事大国化、言論弾圧、倫理崩壊…すべては『あの人』からはじまった」を映像的に検証する映画であるが、この後に裏金問題が発覚し、「国のために」が「自分が得するために」だったのがわかってしまった。だからこそリバイバルの意味があるのだ。

本作は安倍首相がやってきたことを批判的にとりあげているが、そういう政治的意識がある人が「我が意を得たり」と確認するためにとどまらない。2015年の安保法制強行成立や、その後のモリ・カケ・桜の問題があっても、なぜ安倍首相は人気があり支持率が高かったのかが見えてくる。  これはあくまでも映画を見た中での私の見方に過ぎないが、おぼっちゃまではあるが何となく勉強ができなさそうだったこと。東大出の官僚たちをひれ伏させ、はぎれよく単純に言ったこと。庶民は、頭の良さをふりかざし上から目線の奴は嫌いだ。

わかりやすい言葉を繰り返し使い、説明できなくなると開き直るかブチ切れる姿が、「理解力のあるいい人」ばかりの世の中にあってカッコイイ「昭和の親父」。

建前ばかりのリベラルより、気持ちを代弁してくれてスカッとする。

何はさておき、私も新NISAをやろうと思っている。安倍首相が始めたのは認識していますから。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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