岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

厳しくも優しい魂の深遠を描くドラマ

2024年06月03日

ゴッドランド/GODLAND

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【出演】エリオット・クロセット・ホーヴ、イングヴァール・E・シーグルズソン、ヴィクトリア・カルメン・ゾンネ、ヤコブ・ローマン ほか
【監督・脚本】フリーヌル・パルマソン

アイスランドの大自然が満喫できる前半

アイスランドを旅行ガイド的に紹介すると『大自然の宝庫 地球の息吹と鼓動を感じる旅へ~アイスランドは地球という星が生きているということを直に感じることができる場所。氷河から溶けた水はやがて大きな滝となり、活きている火山は地球の鼓動を感じさせます』(クラブツーリズムのホームページより引用)

本作の邦題「ゴッドランド」は、まさにこの国のイメージを彷彿とさせるが、原題は『Vanskabte Land』で、直訳すると「変形した土地」という意味である。どちらもいいタイトルだ。

19世紀後半のデンマーク領アイスランドを舞台に、若き牧師ルーカス(エリオット・クロセット・ホーヴ)が、辺境の村に布教するため教会を建てるというお話だ。

映画は、現地の人や自然に触れながら目的地まで行きたいというルーカスの希望での旅程を追った前半と、その目的地の村での教会建設の二部構成になっている。

ルーカスは決して支配的な男ではないが、「未開の地の住民に素晴らしいキリスト教(プロテスタント)の信仰を布教してあげる」という上から目線があることは事実だ。アイスランド語を学ぼうともしない。

一方で旅のガイドを勤めるラグナル(イングヴァール・E・シーグルズソン)は、デンマーク嫌いで粗野でぶっきらぼうな男だ。ルーカスを胡散臭い人物だと決めつけている。

目的地へ着くまでの道中の描写は圧巻だ。大木の無い荒涼とした風景や崩れる山肌の中を、一行は馬と共に歩いていく。冷たい雨が降りしきり、足元はときにぬかるみ、橋のない川は服のまま渡る。増水した川で通訳を失い、ルーカスは尋常ではなくなってくる。

半死半生で到着した目的地の村での歓待はあるが、心から信用されているわけではない。そして事件はおこる。

ほぼ真四角に見えるスクリーンは絵画のようであり、ルーカスが撮る写真のようでもある。厳しくも優しい魂の深遠を描くドラマだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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