岐阜新聞 映画部

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2台のピアノと2人の登場人物だけで描く傑作ミュージカル

2024年05月23日

ピアノ 2 Pianos 4 Hands

ⒸRick O'Brien Ⓒ2 Pianos 4 Hands

【企画・主演・演出(監督)】テッド・ダイクストラ、リチャード・グリーンブラッド

2人の絶妙な掛け合いとユーモラスな演技

絢爛豪華な舞台セットやきらびやかな衣装はおろか、語りかけるような歌も大人数のダンスも無い。舞台にあるのは2台のグランドピアノだけで、出演者は歌も歌わないしダンスもしない、中年の男2人っきりだ。

たったこれだけのセットと登場人物のみで、約2時間の舞台を飽きさせないどころか観客を音楽的興奮の渦に巻き込んでいくのだから、傑作ミュージカルと呼ばれるのに偽りはない。

物語は、2人のピアニストのエピソードが交互に登場し、本人と相手役(父親や母親、ピアノ教師やコンクールの審査員など)を瞬時に入れ替えながら、半生の物語をスピーディーに進めていく構成だ。

2人の絶妙な掛け合いとユーモラスな演技は面白く、メインとなるピアノの生演奏はバッハ、モーツァルト、ベートーベン、ショパンからジャズやビリー・ジョエルまでが奏でられる。

先生を変えたら奏法が真反対の指導で混乱したり、音楽家としての将来のことで家族と対立したり、アマチュアでは良いけれどプロとしてはダメと断言されたりで、描いた音楽家人生はことごとくぶち壊される。そして2人は、国一番でも街一番でもなく、近所で一番のピアニストだったというオチはほろ苦いが、何故かホッとするのだ。

主演・演出は、テッド・ダイクストラとリチャード・グリーンブラッドで、1996年4月カナダのトロントで初演。すぐに評判を呼び、翌年にはオフ・ブロードウェイに進出し6か月のロングランを記録、以降世界中で4000回以上に渡って上演された。

日本でも2004年に東京で3週間、2012年にオリジナル・キャストで4週間の全国ツアーを敢行、名古屋・名鉄ホールでも上演された。

今回の映像は、オリジナル・キャストによる2013年の最終公演を収録したもので、映画館で鑑賞するからこその醍醐味が十二分に伝わってくる。なかでもピアノを習っていた人には、あるあるばかりで爆笑必至だろう。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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