岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品パリ・ブレスト ~夢をかなえたスイーツ~ B! 美味しそうなスイーツを眺めているだけで笑顔になれる映画 2024年05月07日 パリ・ブレスト ~夢をかなえたスイーツ~ ©DACP-Kiss Films-Atelier de Production-France 2 Cinéma 【出演】リアド・ベライシュ、ルブナ・アビダル、クリスティーヌ・シティ、リカ・ミナモト 【監督】セバスチャン・テュラール 一流だからこそできる最上級のプレゼント 本作は、22歳でジェラート世界選手権のチャンピオンに輝いた天才パティシエ:ヤジッド・イシェムラエン(32)の自伝的映画である。 ヤジッドは幼少期、ネグレクトの母親から切り離されて里親の家や児童養護施設で過ごした苦労人だ。万引きをするなど荒れた少年時代であったが、里親の家で出されるスイーツの虜になり、14歳からパリの高級レストランに潜り込んで修行、その後世界的パティシエになったという異色の経歴の持ち主である。 本作のスイーツ監修も務めたヤジッド氏は、日本公開に当たり、日本を代表するパティシエの辻口博啓さんと対談。製菓専門学校に通うことなく洋菓子店で修行し、コンクールで優勝して有名になった辻口さんと意気投合している。 石川県七尾市出身の辻口さんは能登半島地震でお菓子を届けるボランティアをされているが、2人とも「お菓子には人々を笑顔にする力がある」と確信しているのが素敵だ。 映画の中のヤジッド(リアド・ベライシュ)は、同僚に妬まれて警察の厄介となり職を転々とするが、ヤジッドを罠に陥れた元同僚にコンクールで勝つところは痛快である。 様々な苦労も、最後は上手くいくことがわかって見ているので、映画内で起こる下済み時代の失敗や苦労、裏切りなども全て「成功への糧」としてみえてくる。あたかも「プロジェクトX」のようだ。 病に伏す養母のお見舞いにはコンクールの特訓で行けないが、代わりにとっておきのスイーツをプレゼントするなんて、一流だからこそできる最上級のプレゼントだ。 お話は直球のサクセスストーリーでいわば安心して見られる映画だが、ヤジッド氏が監修した芸術的な造形美と見るからに美味しそうなスイーツの数々を眺めているだけでも満足感が得られるのだ。 私のような酒好きの左党は、何のお酒が合うか考えながら見るのも楽しい。ワイン?、ビール?、ウイスキー?きっと笑顔になれる映画である。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年05月17日 / 一月の声に歓びを刻め 三島有紀子監督が、自分自身と向き合った自伝的映画 2024年05月17日 / 一月の声に歓びを刻め 自らの体験を反映させた三島有紀子監督の渾身作 2024年05月17日 / マリア 怒りの娘 11歳の少女の眼に映る現在のニカラグア more 2019年10月16日 / シネマ・ジャック&ベティ(神奈川県) 戦後からハマの映画ファンを唸らせ続けた双子の映画館 2022年05月11日 / 豊岡劇場(兵庫県) 豊岡で暮らす人たちと作り上げる新しい街づくりの拠点。 2018年02月15日 / 高松ホールソレイユ(香川県) 戦後、ありったけの資材を集めて設立したシンボル more
一流だからこそできる最上級のプレゼント
本作は、22歳でジェラート世界選手権のチャンピオンに輝いた天才パティシエ:ヤジッド・イシェムラエン(32)の自伝的映画である。
ヤジッドは幼少期、ネグレクトの母親から切り離されて里親の家や児童養護施設で過ごした苦労人だ。万引きをするなど荒れた少年時代であったが、里親の家で出されるスイーツの虜になり、14歳からパリの高級レストランに潜り込んで修行、その後世界的パティシエになったという異色の経歴の持ち主である。
本作のスイーツ監修も務めたヤジッド氏は、日本公開に当たり、日本を代表するパティシエの辻口博啓さんと対談。製菓専門学校に通うことなく洋菓子店で修行し、コンクールで優勝して有名になった辻口さんと意気投合している。
石川県七尾市出身の辻口さんは能登半島地震でお菓子を届けるボランティアをされているが、2人とも「お菓子には人々を笑顔にする力がある」と確信しているのが素敵だ。
映画の中のヤジッド(リアド・ベライシュ)は、同僚に妬まれて警察の厄介となり職を転々とするが、ヤジッドを罠に陥れた元同僚にコンクールで勝つところは痛快である。
様々な苦労も、最後は上手くいくことがわかって見ているので、映画内で起こる下済み時代の失敗や苦労、裏切りなども全て「成功への糧」としてみえてくる。あたかも「プロジェクトX」のようだ。
病に伏す養母のお見舞いにはコンクールの特訓で行けないが、代わりにとっておきのスイーツをプレゼントするなんて、一流だからこそできる最上級のプレゼントだ。
お話は直球のサクセスストーリーでいわば安心して見られる映画だが、ヤジッド氏が監修した芸術的な造形美と見るからに美味しそうなスイーツの数々を眺めているだけでも満足感が得られるのだ。
私のような酒好きの左党は、何のお酒が合うか考えながら見るのも楽しい。ワイン?、ビール?、ウイスキー?きっと笑顔になれる映画である。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。