岐阜新聞 映画部

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プロのダンサーたちが躍る、贅沢なバレエ映画

2024年04月24日

RED SHOES/レッド・シューズ

© 2023 One Tree Productions

【出演】ジュリエット・ドハーティ、ローレン・エスポジート、ジョエル・バーク、キャロリン・ボック、プリムローズ・カーン、ニコラス・アンドリアナコス、ミエッタ・ホワイト、アシュリー・ロス
【監督】ジェシー・エイハーン、ジョアンヌ・サミュエル

バレエの魅力は、完成された様式美と身体だけでの感情表現

しなやかな体にチュチュをまとい華麗に踊るバレエは、ボクシングと同じく映画と親和性が高く傑作も多い。

本作でもモチーフとなっているバレエ映画の古典『赤い靴』(1948/キネ旬5位)を筆頭に、バレリーナとして成功した女性と、引退し家庭に入った女性2人を対照的に描いた『愛と喝采の日々』(1977/キネ旬6位)や、性差を超えて少年がプロのバレエダンサーを目指す『リトル・ダンサー』(2001/キネ旬3位)、白鳥と黒鳥を演ずることになったバレリーナが主役のサイコスリラー『ブラック・スワン』(2010/キネ旬5位)などが思い浮かぶ。

本作のストーリーは、プロを目指していたバレエダンサーが挫折したが復帰し、厳しい指導に耐えて見事花を咲かすという王道というか、ありきたりな話だが、ジェシー・エイハーン監督は物語はさておき、バレエシーンには全力を傾けている。

主役のサム役ジュリエット・ドハーティをはじめ、ライバルのクレイシー役プリムローズ・カーンやダンスパートナー・ベン役のジョエル・パークなど国際コンクール受賞者たちが、演技もダンスも見事に演じている。

バレエ映画から見るバレエの魅力は、まずは完成された様式美を見ることだ。コンテンポラリーダンス等と違って、バレエには絶対的で正確なポジショニングがある。"正"のポジションは人間が自然に行う動きとは真逆であり、だからこそ「頭のてっぺんから足のつま先まで完璧」な姿に究極の美を感じるのだ。

もう一つは、セリフが無く身体の表現だけで感情等を表現することである。しばしば難解とされるのはこの部分であろう。日本の能と同じなのかもしれない。

映画の中で踊られるのは、先にも触れた映画『赤い靴』を、マシュー・ボーンが1996年に舞台化したバレエだ。親しみやすくわかりやすい。

プロのダンサーたちの素晴らしいバレエシーンを堪能できる、贅沢なバレエ映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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