ガイ・リッチー監督の新たな一面が見える力作

アフガニスタンに侵攻したアメリカ軍の標的はタリバンだった。

2018年、アフガニスタン。軍曹のジョン・キンリー(ジェイク・ギレンホール)率いる部隊に課せられた任務は、タリバンの兵器、武器の隠し場所、拠点を突き止めることだった。

ところが、思ったような成果あげることもできず、上層部からはプレッシャーをかけられる始末。

そしてこの日、新たな隊員として、通訳のアーメッド(ダール・サリム)が隊に加わることになる。

戦場における通訳の存在は影の存在として前面に立つことは少ないが、本作でいう戦場=現場はアメリカにとっては他国となる。コミニュケーションに英語は万能とはいかない。アフガニスタンはペルシャ語圏内だが、公用語はダリー語とパシュート語が多く使われている。ダリー語はペルシャ語の方言、パシュート語はパキスタンに近い地域の言葉で、通訳の必要性は絶対となる。

『キリング・フィールド』(ローランド・ジョフィ監督/1984年/日本公開1985年)は、1970年代のカンボジアの内戦を取材するアメリカ人ジャーナリストを主人公にした映画で、彼に付き添うカンボジア人通訳が、危機的な状況を言葉と行動力で度々、切り抜ける姿が描かれている。主従の関係超えたふたりの熱い友情は感動的だった。

難民で現地のジャーナリストでもあるディス・プランを演じたハイン・S・ニョールは、アカデミー助演男優賞を受賞した。

ついに、キンリーの部隊は、爆発物製造工場を発見するが、タリバンのゲリラ兵の急襲にあい、全滅に追い込まれてしまう。それでも瀕死の重傷を負ったキンリーをアーメッドは救出し、間一髪、危機を脱する。そしてふたりの地獄の逃避行が始まる。

物語は後半、キンリーが、命の恩人で、国外脱出ができないまま、アフガニスタンに潜伏しているアーメッドの救出劇に向かう話に転じる。

"コヴェナント" はユダヤ教、キリスト教においての契約を意味する。しかし、立場を変えたふたりの救出劇は熱い友情に他ならない。