岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

自分探しと家族を見つめた優しい映画

2024年04月02日

ミツバチと私

© 2023 GARIZA FILMS INICIA FILMS SIRIMIRI FILMS ESPECIES DE ABEJAS AIE

【出演】ソフィア・オテロ パトリシア・ロペス・アルナイス アネ・ガバライン
【監督・脚本】エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン

理解が当事者意識に直面した時の格差

アイトールは男の子であることに悩んでいた。

8歳の少年アイトールは、その "男名前" が嫌だった。

「自分は男の子ではなく、女の子なのに…」

それを周囲は分かってくれるはずもなく、アイトールは殻に閉じこもるように心を閉ざす。

母はそんな息子の悩みを感じ取れてはいたものの、それにどう向き合っていったらいいものか、わからないでいた。

夫にそれとなく相談してみたものの、「お前の育て方が悪いからだ」と一蹴される。

アイトールの兄妹にしたところで、彼の悩みをまともに受け止めるには、まだ幼すぎた。

夏、家族はバカンスを過ごすため、親類の住むスペインへ向かう。

そこは緑豊かな草原が広がり、眩しい陽光に輝くバスク地方の村だった。

環境が変わっても、アイトールを見る周囲の目は変わらないし、"性的自認問題" を深刻に捉える人たちさえいる。

いとこのひとりはそれには無縁で、普通の女の子として接してくれたりするのだが…。

そんな中、養蜂を営む叔母は、アイトールに正面から向き合う。

アイトールを演じるのは、オーディションで選ばれたソフィア・オテロで、映画初出演とは思えないほどの、微妙な心理の細やかな揺らぎを自然体に見事に演じている。

昨年、出品された第73回のベルリン国際映画祭では、史上最年少の8歳で主演俳優賞(銀熊賞)を受賞した。

因みに、映画祭では、ジェンダー平等の観点から、男優女優の区分を廃止しており、彼女は俳優賞として選出された。

アイトールは村の神父さんから聴いた "聖ルチア" の物語にひかれ、自らをルチアと呼ぶようになる。

メインとなるのは、子どもに関わるジェンダーのテーマだが、その視点は祖母、母を交えた3世代に及び、自分探しから家族とは、という問題にまで切り込んでいる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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