岐阜新聞 映画部

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フィリピンパブ嬢の実態を描く、実録ラブストーリー

2024年03月18日

フィリピンパブ嬢の社会学

© 2023「フィリピンパブ嬢の社会学」製作委員会

【出演】前田航基、一宮レイゼル、ステファニー・アリアン、田中美里(友情出演)、津田寛治、宮本忠博、五十嵐美紀、岸本華和、イマニ・スタンフォード、鈴江あずさ、藤原基樹、飯島珠奈、仁科貴、浦浜アリサ、近藤芳正、勝野洋
【監督】白羽弥仁

魔法の言葉「私、そんなに弱くないよ」

私は生まれも育ちも、そしていまも三ヶ根山麓の小さな集落に住んでいるが、10年位前まで男の厄年のひとがいる時は、秋の氏神様の祭礼で船の形の山車をひいて練り歩いていた。そうすると沿道の人から祝儀が貰えるのだが、そのお金はその日のうちに使ってしまうのが流儀で、昔は決まってフィリピンパブで全部使ったものだ。

『フィリピンパブ嬢の社会学』は、真面目で親切でフレンドリーなイメージのフィリピンパブ嬢の表側と裏側を、リアルに描いた実録ラブストーリーである。

原作の中島弘象さんは1989年生まれなので、中島さんが大学院でフィリピンパブを研究対象にしていた時期は、私が岡崎や幸田のフィリピンパブへ連れて行ってもらった頃と重なっている。「あの頃」感満載である。

当時優しくて可愛いフィリピーナたちはカタコトの日本語で健気に接してくれたが、日本で就労するのに法律すれすれ又は脱法行為を強要されていた、もしくは受容していたことがわかってきた。

パブでは基本女の子は数カ月で替わっていたが、3か月有効の興行ビザ(本来は接客は違法行為)でなく、偽装結婚をして在留資格を得ていた子がいたことをあらためて知った。なんだか申し訳ない気持ちになってくる。

中島さんがモデルの中島翔太(前田航基)は、体当たり取材で接していたパブ嬢の一人ミカ(一宮レイゼル)と急激に仲良くなっていく。取材対象と恋愛関係になるなんて、予定調和以上の黄金パターンである。

この恋愛を成就するために、警察に事情聴取されたりヤクザに呼び出されたりするなど信じがたい実話であるが、「恋は強し」なのだ。

結構深刻な物語ではあるが、映画は全体にあっけらかんとしている。それはフィリピーナたちが困難にも負けず常に明るく前向きなことだ。

「私、そんなに弱くないよ」

くじけそうになるときに言う魔法の言葉。フィリピーナたちに、勇気がもらえる映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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