岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

映画祭を舞台にしたロマンチックコメディ

2024年03月06日

サン・セバスチャンへ、ようこそ

 © 2020 Mediaproducción S.L.U., Gravier Productions, Inc. & Wildside S.r.L.

【出演】ウォーレス・ショーン エレナ・アナヤ ジーナ・ガーション ルイ・ガレル クリストフ・ヴァルツ
【脚本・監督】ウディ・アレン

モノクロ映像を再現したヴィットリオ・ストラーロ撮影の "あそび"

リフキン夫妻は、スペインのサン・セバスチャンに降り立つ。

かつては大学で映画学を教えていたモート・リフキンは、今は、小説の執筆に没頭しようとしている。

妻のスーは、映画の広報の仕事に邁進して、夫のことはそっちのけ。

サン・セバスチャンで開催される映画祭に参加するため、アメリカからやって来た夫婦だったが、今や、モードは、妻に同行したにすぎない。スーは宣伝を請負ったフランスの新鋭監督に心血を注いている。モードの脳裏をかすめるのは、その生意気な若造監督と妻が一線を越えてはいまいかという疑いだった。

監督、脚本はウディ・アレン。前作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2019年/日本公開2000年)で、最愛の街をしっとりと恋の雨に濡らしたアレンだったが、今回は再び、舞台をヨーロッパに移している。

モートを演じるウォーレス・ショーは、輪郭はまるいものの、小柄で黙ってる時の存在感の薄さまで、どことなく、自作自演の際のアレン演じる男が投射されているように見える。

案の定、モートは精神的に追い詰められて、昼夜を問わず幻覚に悩まされるようになる。

このあたり、迷うことなく独自趣味を全面に押し出す。

夢のような幻覚は、モノクロの映像で、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』だったり、ゴダールやトリュフォーやルルーシュの作品だったり、映画中映画を演じたり、傍観したりする。その映画を知らない人にとっては、訳のわからない挿入なのだが、この映画ファンならではのくすぐりと遊びは実に面白い。

孤立感を拭い去れないモートは、知り合いに紹介してもらった医師の診断を受けて、体調と精神の安息を図ろうとするが、医師はことのほか美しい女医だった。そして、恋に落ちる。

ウディ・アレン、88歳。その若々しい健在ぶりは頼もしい限り。既に次作は完成している。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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