岐阜新聞 映画部

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王子薬物中毒死事件の真相を暴く、歴史ミステリー

2024年02月27日

梟―フクロウ―

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【出演】リュ・ジュンヨル、ユ・ヘジン
【監督】アン・テジン

盲目の鍼師ギョンスの活躍や如何に

韓国映画やドラマにおいて、朝鮮半島に存在した国家「朝鮮」(1392~1910)の歴史を描いた時代物はジャンルとして確立している。

映画『王の願い ハングルの始まり』(2019)で描かれた第4代国王・世宗(在位1418~1450)は有名であるが、本作は第16代国王・仁祖(在位1623~1649)の時代、1645年に起こった「王子薬物中毒死」事件の史実を大胆に解釈した歴史ミステリー映画である。

本作の予告編やチラシのメインビジュアルである「目を突き刺そうとする針」を見て、尖ったものが目に向かってくることに恐怖を覚える「先端恐怖症」の人やコスチューム・プレイ(時代劇)が苦手な人には、拒否感があるかもしれない。私も恐る恐る見たのだが、予告イメージはごくわずかで、大半は一大娯楽映画であった。

時代背景としては、中国大陸を支配していた国家が明から清へ交替していく明清交替期(1620頃~1680頃)で、朝鮮がどちらについていくか揺れ動いていた時代だ。

朝鮮は1636年に起きた清の朝鮮侵略(丙子の乱)に敗北し、王子を人質にとられる。8年後に帰されるのだが、親明反清の仁祖にとって、すっかり清派になっていた王子は邪魔だ。

一方では盲目の鍼師ギョンス(リュ・ジョンヨル)が、腕を買われて宮廷の医局の鍼師として採用される。

映画は、「目が見えない」鍼師ギョンスの「目の前」で王子が毒殺されるのだが、なぜ殺されるのか?どうやって殺されたのか?をギョンスが暴いていくことになる。

盲目のギョンスには、人には知られてないある重大な秘密があるのだが、謎解きの肝となる部分なのでここでは書けない。反則ギリギリではあるが、設定としては納得できる。

ストーリーは若干強引なところもあるが、時代ミステリーとしては伏線の張り方や犯罪のやり方を含めとてもよく練られており、非常に面白い韓国時代物となっている。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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