岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

交わっていない母と子がたどる回復の時間

2024年02月20日

僕らの世界が交わるまで

© 2022 SAVING THE WORLD LLC. All Rights Reserved.

【出演】ジュリアン・ムーア、フィン・ウォルフハード、アリーシャ・ボー、ジェイ・O・サンダース、ビリー・ブリック、 エレオノール・ヘンドリックス ほか
【監督・脚本】ジェシー・アイゼンバーグ

ジェシー・アイゼンバーグ監督の今を切り取る優しい視点

漠然と…自分は果たして世界と交わっているのか?

エヴリン・カッツは、世界にいる。世間にいるDV被害者のための避難所となる施設を経営し、さまざまな問題を抱えた人たちに寄り添い、その仕事に誇りを持って取り組んでいる。

とりあえず気になっているのは、ひとり息子のジギーのことで、高校生に成長するまで愛情を注ぎ込んでいたつもりだったが、最近の関係性は絶対的に良好とは言い難い。

ジギーはネットの配信に没頭し、それなりの人気を獲得してはいるものの、フロアー数の維持は大変なようで、夢中になるものを持っていることは認めつつも、心配の種にもなっている。

それぞれが自分の世界で生きている。親子と言えども、自分以外の人は傲慢に見え、自らの縄張りに侵入してくることを拒絶したくなる、という自分もまた傲慢なのだ。

エヴリンを演じるのはジュリアン・ムーア。女優として30年以上のキャリアを積み、『アリスのままで』(リチャード・グラッアー.ワッシュ・ウェストモアランド共同監督/2014年/日本公開2015年)で、5度目のノミネートで念願のアカデミー主演女優賞を受賞した。幅広い役柄をこなし、助演でも輝きを見せる。今回のエヴリン役も、自らの信念を曲げることなく、社会と深く関わることに自信を持った女性を力強く演じている。

ジギーを演じるのは、若手成長株のフィン・ウォルフハードで、ネット配信でジギーが披露する楽曲の多くは彼の自作でもある。

チグハグな母と子はそのことを自覚している。それを他人に気づかされるというのも皮肉な話ではあるけれど。関係の修復…イヤ、崩壊はしていないのだから、ちょっとした軌道修正で良いのかも? 親子は立ちどまり考える。

面白いのは、存在感の薄い父親。傍観の立場からなのか、ふたりのことが見えている。鋭い指摘が突き刺さる。

近い人との関わり方がいちばん大切なのかも。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (7)
  • 検討する (0)

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

ページトップへ戻る