岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

選挙にのめり込んだジャーナリストを追うドキュメンタリー

2024年02月02日

NO 選挙, NO LIFE

Ⓒネツゲン

【出演】畠山理仁
【監督】前田亜紀

浮かび上がるのは選挙の珍妙な劇場性

選挙は国民の権利?

またまた、明らかになった "政治と金" の問題。議員をはじめとした公務員は、国民に奉仕して、尽くしてなんぼ? というのは、幻想であることに気づいたのは、はるかに昔の話。

不思議なことに公務員、それはひと握りの人たちのことかも知れないが、血税が注がれ膨らんだ財布を懐にしながらも、次の財布のありかを求めたり、何がしかのおこぼれに預かりたいと、本業以上の精力を傾ける。

もっと顕著なのは議員の先生。議員報酬は庶民感覚では高いものなのに、何故か、議論はなり手のいない現状を憂い、それなりの生活を保証する報酬が必要という議論に転じる。それをある程度という漠然とした相場で片づけたとしても、ボーナス制度の必要性を疑うし、報酬に付随する別の財布の存在に驚かされる。

期末手当という不可思議なお小遣い。費用弁済という絵に書いた餅に支払われるお金。ただ乗り、格安家賃の公舎、何とか手当、何やら何やらと、言い出したらきりのない、複数財布の存在。そして、正しい納税をしない厚顔ぶり。

声を上げることの虚しさのみが跳ね返り、議員を選ぶことにシラけるのは、国民の特権。

フリーランスのライターで、選挙に特化した取材を続ける畠山理仁がいる。

その取材対象は、国政選挙のみならず、地方選挙から海外の選挙までに向けられている。そこで彼が重要視するのは、公平な視点を維持すること。それは立候補して、声を上げた候補者全員に取材することでのみ成立する。

2022年に行われた参議院選挙の東京選挙区には34人の候補者がいた。

単身、荷物とカメラを担ぎ、公式な記者会見場、路上の演説の現場、はては、移動の隙間を狙い撃ち、突撃取材は続く。

これはドキュメンタリーとして真っ当なことと同じく、正しきジャーナリストの姿でもある。

現場で見る選挙は面白そうだけど、やっぱり引いてしまう。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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