岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

料理の湯気と香りに隠されたフレンチラブストーリー

2024年01月23日

ポトフ 美食家と料理人

©2023 CURIOSA FILMS – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA

【出演】ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
【監督・脚本】トラン・アン・ユン

圧倒的なビジュアルに負けない名演のスパイス

ポトフはフランスの家庭料理。では、日本ではどれくらい馴染んでいるか?

ひとつの鍋、これが大事。肉は塊のまま、ソーセージもそのまま、野菜もほぼ原型のまま、鍋に入れ香辛料などを加えて火にかけて煮込む。

"ポトフ" の "pot" は鍋のこと、"feu" は火のことだから、直訳すれば、"火にかけた鍋" という意味になる。

日本なら鍋料理は各種存在するから、比較は容易だが、当たり前のことに、食材とか味付けに微妙な差異があって、全てが合致することはない。煮込み料理やシチューみたいなものと、少し見方を変えたり、家庭料理ならば肉じゃが近いのかも?と思ったりもするが…。そう言えば、肉じゃがは、ビーフシチューの再現を試みた模索品から生まれた料理という説もある。

お馴染みとは言えないまでも、ポトフもそこそこの知名度がある。

19世紀末のフランスが舞台。鬱蒼とした森の中に、静かに佇むシャトー。そこで暮らすドダンは、美食家としてその名を知られている。それを支えるパートナーで料理人のウージェニー。深い信頼関係に結ばれたふたりは、互いをリスペクトし、アイデア、意見を尊重、切磋琢磨しながら、次々と新しいメニューを創造していた。

2人の名声が、フランスにとどまることぬく、ヨーロッパ中に広まっていることを証明するように、ある日、ドダンはユーラシア皇太子から、晩餐会に招待を受ける。しかし、そこで供された見た目だけに偏った退屈な料理に失望し、皇太子を食の真髄に迫る究極の料理でもてなすことを計画する。

そんな決意を固めた時、ウージェニーが病に倒れる。料理は完成するのか? 愛の行方は?

監督はベトナム系の奇才トラン・アン・ユンで、持ち味の繊細な映像感覚は、調理の過程をワンカットでとらえるこだわりで、見事に生かされている。

ちょっと、ありきたりのアドバイスですが…鑑賞は空腹時は避けた方がよいかも?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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