岐阜新聞 映画部

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「農場キャバレー」で起死回生の一発逆転劇

2024年01月12日

ショータイム!

© 2021 - ESCAZAL FILMS - TF1 STUDIO - APOLLO FILMS DISTRIBUTION - FRANCE 3 CINÉMA - AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA

【出演】アルバン・イワノフ、サブリナ・ウアザニ、ベランジェール・クリエフ、ギイ・マルシャン、フィリップ・ベナムー、ムーサ・マースクリ、ミシェル・ベルニエ
【監督・脚本】ジャン=ピエール・アメリス

主演にして鬼の演出家ボニーの成長物語

本作は、危機的状況に陥ったビジネスを打開するために、奇想天外な発想と虚仮の一念で見事に蘇らさせた実話ベースの成功物語である。

長年の累積赤字から、借金のカタに農場をとられてしまうまでの猶予はたったの2か月。農場の三代目ダヴィッド(アルバン・イワノフ)はまさに背水の陣であったが、たまたま入った都会のキャバレーに感動した彼は「これだ!」と閃いて、自分の納屋を改装し農場でキャバレーをやることを思いつく。

反対する人たちを説得しながら、パフォーマーを集めて、見事「ファーマーズ・キャバレー」をオープンさせ、今も続いているというストーリーだ。

この手の話では、常磐炭鉱の縮小による町おこし事業で、ハワイアンショーを主体とした常磐ハワイアンセンターをオープンさせるまで描いた『フラガール』(2006)や、鉄鋼業が衰退していく中で男性ストリップに挑戦する男たちを描いたイギリス映画『フル・モンティ』(1997)を思い出す。

人生のピンチがやってきた時、思いもよらない方法で乗り切る話はそう簡単にできるものではないが、勇気が貰えることは確かだ。本作を観ていても「あきらめない」「へこたれない」ことが、危機を突破する大きな要素だとわかる。

本作のモデルになった、ダヴィッド・コーメットさんのインタビューによると、フランスでは2010年以来、1日に27軒の農場が消滅し、毎年350人以上の農家が自殺しているとのこと。そんな現状に一石を投じ、農家に多様化と革新の機会を与えれば、フランスの農業を救うことができるとの確信をもって始めたそうだ。

映画は、キャバレーの主演にして鬼の演出家ボニー(サブリナ・ウアザニ)の成長物語でもあるし、様々なパフォーマーの一芸を見る楽しみもある。パフォーマンスにショボさは全くなく、こんなショーだったら見たくなってくること請け合いだ。

実に楽しい気持ちになれる映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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