岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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伝説の漫画の待望の実写化

2023年12月14日

沈黙の艦隊

©かわぐちかいじ/講談社 ©2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

【出演】大沢たかお、玉木宏、上戸彩、ユースケ・サンタマリア、中村倫也、中村蒼、水川あさみ、酒向芳、笹野高史、橋爪功、夏川結衣、江口洋介 ほか
【監督】吉野耕平

作り手の意気込みが序章に終わる中途半端感

『沈黙の艦隊』は、かわぐちかいじによる漫画で、1988年から96年にかけて「モーニング」に連載された。発行部数は電子版を合わせれば、3200万部を超える。単行本にすると全32巻になる、超大作、大ヒット作品である。

90年代にはアニメ化、ラジオドラマ化され、ゲームのソフトにもなっている。

物語は所謂、"架空の戦記" であるが、驚くべきは、長期連載、32巻の長尺でありながら、劇中の時間経過は、わずか2ヶ月ほどのことである。

そこには現実の世界で進行している情勢に影響を受け、それを吸収しながら進行する手法が取られている。

当時はソ連が崩壊、長く続いた冷戦構造が崩れた時期であり、国内では、海上自衛隊の潜水艦 "なだしお" が民間の遊漁船 ’第一富士丸" と衝突事故を起し、30人の命が失われるという「なだしお事件」が発生して間もない頃だった。

議論は自衛隊の存在意味にまで波及するものになった。

とは言え、いまそこにある危機的な、有事に対する自衛の問題。それをゲーム感覚で語ることの軽さ。といった格差があり、この作品を簡単に語ることは難しい。

大きなブームとなった作品が、まさかの実写化…出し遅れの証文ではなく、そのメッセージ性は古びてはいない。

物語は日本近海で海上自衛隊の潜水艦がアメリカの原子力潜水艦と衝突し、全乗員76名が死亡する事故が発生した、というショッキングな報道から始まる。

日本初の高性能原子力潜水艦 "シーバット" の艦長・海江田(大沢たかお)と、同僚をテロリストと認定して敵対することになる海自のディーゼル艦 "たつなみ" の艦長・深町(玉木宏)との対峙。

リアルに再現されたビジュアル、緊迫感溢れる進行…なれど、壮大な物語のこれはほんの序盤に過ぎない…ちょっと肩すかし、次への期待。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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