人気作家の真実に迫るドキュメンタリー
2023年12月11日
パトリシア・ハイスミスに恋して
© 2022 Ensemble Film / Lichtblick Film
【出演】マリジェーン・ミーカー、モニーク・ビュフェ、タベア・ブルーメンシャイン、ジュディ・コーツ、コートニー・コーツ、ダン・コーツ
【監督・脚本】エヴァ・ヴィティヤ ナレーション:グウェンドリン・クリスティー
© EllenRifkinHill_CourtesySwissSocialArchives © CourtesySwissLiteraryArchives
別名義の同性愛小説の存在と隠された生活
パトリシア・ハイスミスを知っていますか?
ミステリー小説のファンならご存知かも知れないけれど…。
では、映画ファンに寄り添って、アラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』(ルネ・クレマン監督/1960年)なら、もう少し、近づけるかも? そう、パトリシア・ハイスミスはアメリカの作家で『太陽がいっぱい』の原作者なのです。
パトリシア・ハイスミスは1921年、アメリカ・テキサス州に生まれた。まもなく、スタンリー・ハイスミスの養女となりニューヨークで育った。学生時代から、ドストエフスキー、ジョゼフ・コンラッド、アラン・ポー、モーパッサンなどを愛読する文学少女だった。
ハイスクール在学中に初めて書いた短編小説が雑誌に掲載されたり、長編小説も手がけたりしたが、それは24歳の誕生日に自ら破棄している。 その後は、コミックブックの脚本、編集を担当したりして業界に関わっていた。
1950年に発表した処女長編「見知らぬ乗客」は、翌51年にアルフレッド・ヒッチコック監督により映画化され、作家としての評価は高まることになった。
『太陽がいっぱい』の原作は、55年に発表した長編第3作にあたる。
『パトリシア・ハイスミスに恋して』は、この人気女流作家の謎多き生涯を追ったドキュメンタリーである。
少し不思議なのは、日本ではハイスミスの小説の紹介が遅れたことだ。『太陽がいっぱい』の大ヒットにより知名度は高まったのにも関わらず、翻訳が出版されたのは10年以上を経た71年になってから。シリーズ化された主人公 "トム・リプリー・シリーズ" が翻訳されたのは92年のことだった。
自らが同性愛者だったことを公言しているが、そこに隠された苦悩にまで肉薄し、創作の秘密に迫ろうとしたスタンスは評価したい。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。