岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

メガネ作りを地域産業にした挑戦と情熱の物語

2023年12月04日

おしょりん

©「おしょりん」制作委員会

【出演】北乃きい、森崎ウィン、駿河太郎、高橋愛、秋田汐梨、磯野貴理子、津田寛治、榎木孝明、東てる美、佐野史郎、かたせ梨乃、小泉孝太郎
【監督】児玉宜久

"おしょりん" は凍てつく冬の情景=一途で頑固な回り道をしない人たちの生き様

日本の地域産業では、どの地域でどんなものが作られているかは、言われて初めて気づくことが多く、その知識には疎いと正直に告白しなければならない。

例えば、私の地元である愛知県岡崎市は、石工が盛んで、石屋(いしや)町とか花崗(みかげ)町の地名が残り、今も石屋団地が存在する。しかし、これは狭い範囲の常識で、殆ど知られていないと断言できてしまう。これもさみしいかな当たり前のことなのだろう?

そんな中。福井県の鯖江がメガネの産地であることは、例外的に有名な話で、日本製のメガネフレームの約95%を生産していると聞けば、この知名度は当たり前のことなのかも知れないと、合点がいく。

『おしょりん』は、この鯖江市、福井市にまたがる地域で、一大地域産業となった "眼鏡作り" のはじまりの物語である。

明治37(1904)年、福井県足羽郡麻生津村字生野(現・福井市生野町)の庄屋の長男・増永五左衛門(小泉孝太郎)とむめ(北乃きい)の夫婦は、家事と子育てに忙しい毎日を送っていた。

ある日、仕事先の大阪から五左衛門の弟の幸八(森崎ウィン)が帰郷する。幸八はメガネ作りに村をあげて取り組まないかと持ちかける。

日本にメガネがもたらされたのは戦国時代の1549年に、有名な宣教師フランシスコ・ザビエルによるというのが通説だが、メガネは、貴重な渡来品であり、江戸時代になってからも、幕府の役人や大名といった武士の特権階級の人の所有物で、その後、徐々に商人にも広がりを見せたが、一般庶民のものとなるのは、ようやく、明治になってからのことだった。

活字による書物の普及はこれからの文化となる。とは言え、視力の弱い人、不自由を強いられている人はたくさんいる。メガネは必需品となり、需要を生み出し地域の産業となり得る。

映画はこの夢に賭けた人たち、それを支えた人たちの話を知識として教えてくれ、愛の物語して届けてくれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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