岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

韓国の#MeToo運動のその後を捉えたドキュメンタリー

2023年11月27日

アフター・ミー・トゥー

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【監督】パク・ソヒョン、イ・ソミ、カン・ユ・ガラム、ソラム

映画によって救われる人が1人でもいればいい

2017年10月、ハリウッドの大プロデューサー・ワインスタインのセクハラ行為が大々的に報道される中、女優のアリッサ・ミラノさんがセクハラや性的虐待に団結して立ち向かおうと、「性的嫌がらせや虐待を受けたすべての女性が"Me too(私も)"とこのツイートにリプライして」とTwitterに投稿した。これをきっかけにハッシュタグ「#MeToo」を付けた投稿が世界中に広まり、一大ムーヴメントとなっていった。

韓国では、若い女性が見知らぬ男性に「女性だから」という理由で殺された「江南駅通り魔殺人事件」(2016年5月)を契機として、それまで抑圧されてきた女性の怒りが爆発、フェミニズムの気運が高まっていた。そんな中2018年1月女性検事のソ・ジヒョンさんが、上司からのセクハラ被害をテレビで告発。この勇気ある行動に呼応して韓国の#MeToo運動は一気に広がっていった。

本作はその熱気が落ち着いた3年後の2021年に制作された、4人の女性監督によるオムニバスのドキュメンタリー映画である。

映画の中では、象徴的な事象が取り上げられている。

ソウル・ヨンファ女子高校での教師による生徒へのセクハラを取り上げた#1<女子高の怪談> (監督:パク・ソヒョン)では、声をあげられない在校生のために卒業生たちがセクハラを告発した「スクールMeToo(学内性暴力)」運動とその後に迫っていく。学校内性虐待は、閉ざされた中で起こる上、力関係を行使した生徒・児童への絶対的支配を考えると男女を問わず声に出しにくいのだ。

幼少期の性暴力のトラウマに悩む女性にインタビューした#2<100. 私の体と心は健康になった>(監督:イ・ソミ) も深刻だ。隠しておきたい気持ちとの戦いである。

セクハラ被害は、男女とも声に出して言い難い問題だ。映画によって救われる人が1人でもいればそれだけでも作った甲斐があるのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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