岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

北欧デザインを代表する建築家=デザイナーの創作に迫るドキュメンタリー

2023年11月24日

アアルト

©Aalto Family ©FI 2020 - Euphoria Film

【監督】ヴィルピ・スータリ

日常使いにあるのは類似品かも知れない

北欧デザインといえば?

日本では1970年代の半ば頃から、輸入、普及が浸透し始めたとされているが、ブームとして高まりを見せたのは90年代の終わり頃かも知れない。勿論、それ以前から、一口に北欧デザインといっても、建築から日常品まで、幅広い分野に渡る関係上、案外、早くから根づいていると言った方が正確なのかも知れない。

その名に聞き覚えのある方はいるだろうか?

アールト=アルヴァ・アアルトは、1898年フィンランドの首都ヘルシンキの北に位置するクオルタネで生まれた。測量技師をしていた父の影響から、ヘルシンキ工科大学(現・アアルト大学)に学び、1923年には "アルヴァ・アアルト建築事務所" を設立している。

翌年、建築家のアイノ・マルシアと結婚した。その際、ハネムーンで訪れたイタリアの地中海文化に触れ、強い衝撃を受けたことから、そのデザインに生涯に渡る影響を受けたという。

初期に設計した建物は、労働組合の本部ビル、病院や図書館といった公共施設が多かったが、その作風は、最初期の新古典主義からモダニズムへと変転している。

『アアルト』はその仕事と私生活に肉薄したドキュメンタリーである。

妻であり、仕事の上でも良きパートナーであったアイノとの関係に焦点が当てられる。建築家であった2人が手がけた非建築は、1937年のパリ万博に出展した "アールト・ベース" がある。

これはガラス製の食器で基本的にはシンプルなデザインで、あまりにスタンダードに普及しているため、アアルトによるデザインであることを知らなかった。また、丸い台座に3本脚のイス=スツール(スツール60)も然り。

コルビュジエやライトといった建築家との親交があり、同世代であったのにも関わらず、知名度で劣るのは、あまりにも自然に溶け込んだ "脱個性" に限りなく近い作品の性質によるからかも知れない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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