岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

猫を通じて人生を考えさせる、少女と子猫の成長物語

2023年11月16日

ルー、パリで生まれた猫

© 2023 MC4 – ORANGE STUDIO – JMH & FILO Films

【出演】キャプシーヌ・サンソン=ファブレス、コリンヌ・マシエロ、リュシー・ローラン、ニコラ・ウンブデンシュトック
【監督】ギヨーム・メダチェフスキ

思い通りに動いてくれない、ツンデレな距離感が最高だ

犬と猫の祖先は実は同じで、6500万年前~4500万年前に生息していたとされるミアキスという古生物だ。体長約30センチのイタチに似た体形で森の木の上で生活しており、鳥の卵や小動物などを食べていたようで、すべての食肉目の祖先であると考えられている。

森林から草原へと生活の場を移した一部のミアキスが、その後犬に進化していく祖先となり、森林に残って暮らしていたミアキスが猫の祖先へと進化していった。

その後の進化の過程で、平原に下りた犬は隠れるところがないため集団で狩りをするなど共同作業が欠かせず、他者との協調性を大切にするようになった。そのため人間にも従うようになったのだ。

一方森林に残った猫は、単独で行動し自分の意志で判断し自分で身を守らなければならないことから、人間の指示に従う必要はなかった。

人間界で共に暮らす2大ペットであるが、映画でも準主役級でよく出てくる。

『ルー、パリで生まれた猫』は、不仲で別居寸前の両親に心を痛めているクレムちゃんが、自宅の屋根裏で生まれたばかりの子猫を見つけ、一緒に暮らすことから始まる少女と子猫の成長物語だ。

猫の生態とその可愛らしさに観客の注力を向けさせるためか、人間部分のストーリーはごく単純だ。クレムちゃんがいくら心配しても両親の決断は変わらない。そんな中にあってルーと名付けた子猫の可愛いこと。決してクレムちゃんの思う通りには動いてはくれないが、そのツンデレな距離感が最高だ。

映画は、故郷に帰ってきたかの如く森の中を駆け回るルーの姿を、ドキュメンタリー映画と錯覚するほどに生き生きと映し出していく。ちょっと前まで子猫だったのに、クレムちゃんの成長よりずっと先に大人になっていく。

ルーの幸せとは何か?もしかしたら外敵の多い外での生活の方が、ルーには幸せなのかもしれない。猫を通して人生を考えさせる子どもにとっての気づきの映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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